第4章「異常の中の普通」その15


風呂掃除を終えた僕は自分の部屋に戻り、ベットにダイブした。


……疲れた。高校生になって約一ヶ月半、目まぐるしいほどの変化に


心も体もおもしが乗ったように背負ったものの重圧を感じる。


はみだすわけにはいかない。


変化していく日常に溶け込み、普通にならなければならない。


僕は鞄にしまった、買ったばかりの世界史の教科書を手に取った。


内容は小難しい文章で頭に入ってこない。


それより気になったのは教科書が新品のように綺麗なことだ。


しかし、これは誇れることじゃない。


疲れた体を起こして、机に向かい、世界史の問題集を開いた。


尖らしたシャーペンの芯がなめらかにノートの上で踊る。


今日はずいぶんと調子がいい。


カッカッカッカッ、ペンを走らせる音だけがこの部屋の静けさを


満たしてくれていく。


なぜだろう?


分からないな。


とりあえず、踏み込もう。


知ることはいつも怖い。


でもその怖さのなかにも喜びがあることを僕は知っているはずだ。


そうだ、月曜日に平木に会ったら教えてやろう。


作曲家モーツァルトは好きな女の子に下ネタとか排泄物を


ジョークの種にする変態だったって。

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