第2章「悩み部屋」その12
「これが私の悩み。私の全て。」
壮絶だ。
「....。」
「どう、引いちゃったかしら?」
「いや、そんなことはないけど...」
「身内の問題って他人じゃ割り込めないから、
解決なんて出来るわけがないのにね。」
平木は自分に呆れたように言った。
「私は今まで何を思って、この先何がしたいのか分からないの。
ただ母の言うことに従ってきた私にとって自己決定とは何なのか分からないの。」
「だからこのまま母の操り人形として生きていくなら、意味はないかなって思ったの。
「いやそれは違うよ。」
「操り人形として生きていくことに意味があると?」
平木は僕に訝しげに聞いてきた。
「そこじゃない。」
「君は昨日の授業の時ノートを開かず、先生の話を聞いていた。
でも分かるはずだ。ノートも教科書も開かずにただ聞いているだけでは、
いずれ注意を受けることに。
もし君に意思が無いのなら怒られないように初めから
ノートを開いて勉強していたはずだ。
それが理想の生徒像だから。」
「別にそれは私がノートを取らなくても、
記憶できるからであって別に書き留めておく必要がないと思ったから。」
「でも君に意思は無いはずじゃなかったのか?」
「ハァ、イライラするなぁ。
何も私は全てに意思が無いわけじゃないの。
ただ大事な選択に迫られた時や他人に勧めれた選択に対して
自分の決定が思い浮かばないの。」
見るからにイライラしていた。いや、辛そうだった。
他人が自分の悩みの持論に対して否定しにかかっているんだ。
当然だろうな。
「君はお母さんの話をちゃんと聞いたのか?」
「どちらが正しいとか悪いとかそういう問題じゃない。ただ互いが
「私は分からないの。」
「たとえ私を愛していても、それは私にとっては苦痛でしかなかった!」
「親として恐れていた。だから反抗をしなかった。君の意見はどこにいった?
怒られることが怖い、言い返されることが怖い、なぜなら母が言ってることは正しいから。」
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