一瞬で婚約破棄とかマジないし
早くない?
「愛してる。婚約しよう」
抱きしめられながら、そう囁かれました。
ベッドのうえで。
「はい♡」
あたし即答。
こんなイケメンそうそういないし。
本気でハートつけて答えていたと思います。
それからが激しかった。
何が?って、それはもう……大人ですからね、あたしたち。
愛ってこういうことなんです。
若い子がするのと違って、ちゃんと愛があるというか。
いや、若くないとは言っていませんよ?
婚約ということは、これから結婚して、毎日このイケメンと愛しあうことができるということです。
「うふふ、婚約……」
「……」
終わってからも、あたしは思わずひとりでにこにこしてしまいました。
彼は黙っているけど、きっと疲れてしまったのでしょう。
お疲れさま。
すごかったよ。
「……あのさ」
彼がぽつりと言います。
なんだろう。
「さっきのあれ、やっぱなしで」
「ふぇ?」
思わずへんな声が出てしまいました。
いや、出るでしょう。
さっきのあれって。
えっと。
ど、どれかな?
「……婚約はちょっと違うかなと」
あー婚約のことですかー。
違う。
そうですか、違いますか。
「それって婚約なしで結婚とか――」
「いや、そういうことではなく」
ですよね。
それってつまり、
「婚約破棄ということ?」
これが噂の、という感じです。
まさかあたしが婚約するとも思っていませんでしたが、婚約破棄まですぐにすることになるとはさすがに予想できるはずがありません。
でも彼は、
「婚約破棄っていうか、あんなので婚約したことになるのかな」
「なるわよっ!」
婚約破棄すら認めてくれません。
いやべつに、あたしだって婚約破棄したかったわけではないのですけど。
こんなのってないでしょう……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます