1月1日、これが今年最後の……


現在の時刻、12月31日、23時50分。

ここは県内有数の神社の1つ、その初詣の列に並ぶ。

この世で独りの私が、たった1人で列に並ぶ。

神なんか信じてないし、祈ったところで何も変わらないことくらい、私じゃなくたって誰もが知っている。

ただ、日本人として、この世俗的な行事に参加しているだけ。

強いて言えば、作為ではなく不作為のお願いといったところだろうか……、何かしたい!何か叶えたい!ではなく、何も起きないでくれ……という。

私の前には300人は並んでいるだろうか、見たところ、ほぼ全てが10代と20代、あとは70代が3人いるだけ。

同年代が1人もいない……。

まぁ、私と同年代は、小・中・高の子供と一緒に、家族や配偶者その親族と共に、昼間に一家でお参りという流れだろう。

賽銭箱の真上、ガラガラと音が鳴る本坪鈴と繋がっている太い紐の前で、それぞれ列を作っている。

全部で10列、私は一番左側の列。

前の奴も、その前の奴も、20歳前後の恋する男と女。

後ろの奴も、20歳前後の恋する男と女。

スマホをいじりながら、若さあふれる会話を楽しんでいる。

ああ……、嫌な予感がする、このまま行くと、お参りの瞬間は隣の列が空席になるな……。

後ろに並んでいる奴の心の動きが手に取るようにわかるから、すでに邪魔者扱いか……。

私の番がやってきたのは、1月1日、0時15分。

この15分間が、おそらく仕事以外の私生活で、人の輪の中で過ごす今年最後の時間だな……。

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