第93話 梨沙との約束(後編)
やばい・・・ 俺の方が沈んできた。で、でも梨沙を助けられたし・・・ 俺も役に立てたよな? ごめんな🙏 梨沙・・・ いつも迷惑かけてよ。
「ゲホッ! ゲホッ! か、かいちゃん! し、しっかり!」
「り、梨沙? ゲホッ!」
はぁ〜 俺また梨沙に助けられてるのか・・・ だらしないなぁ。つくづく自分が嫌になってくるよ。いつも梨沙に迷惑ばっかかけて。他に何もできない自分が恨めしい。
「はぁ〜 はぁ〜 た、助かった〜!」
「ふぅ〜 か、かいちゃん? 大丈夫?」
「あ、ああ・・・」
俺たちはやっとのことで岸まで辿り着いた。俺も梨沙もフラフラだ。ほんとに死ぬかと思った。
「ふふふ。かいちゃんに助けてもらっちゃったね❤️?」
「べ、別に俺は・・・ それなら俺の方が助けてもらったくらいだ」
ほんとに情けない。助けに行ったつもりなのに助けられる始末だ。
「なに落ち込んでるの?」
「い、いや・・・ なんかいつも迷惑かけてばっかだなぁって。何もしてあげられなくて悪いな・・・」
「・・・・・」
ほんとに悪いと思ってる。梨沙はもうすぐ違う小学校に行ってしまうというのに。
「・・・そんな風に思わないで。私ね。実はすごくさみしかった。このまま違う場所に行くのも不安だった。でもね。かいちゃんがいつも側にいてくれてすごくうれしかったよ❤️?」
「梨沙・・・ 俺も、俺も・・・ すごくさみしいよ」
目が熱くなってきた。自然と涙が落ちる。この2年。初めて梨沙と会った時からの記憶が頭を横切っていく。
そして、気づけば梨沙も泣いていた。
「かいちゃん・・・ 泣かないでよ。私だってここにいれたらどれだけいいか・・・」
「ご、ごめんな・・・ 俺も梨沙と離れるのがすごくさみしくて」
「・・・・・」
しばらく沈黙が過ぎる。そして波の音がしばしば聞こえてくる。潮風も良い具合に吹いている。
「ふふふ。気持ちいいね」
「ああ。俺はこの潮風が1番好きだ」
俺はたまに海に来ると、潮風にさらされながら海を眺める。なんか落ち着くんだよなぁ。
「かいちゃん・・・ 一つ。いいかな❤️?」
「ああ。なんだ?」
すると、梨沙がほっぺにキスしてくる。冷たい風の中に温かい感触を感じる。
「約束ね・・・ 私はまたかいちゃんに必ず会いにいくから。絶対にいくから。だからそれまで私のことを・・・」
梨沙の頬に涙が落ちる。俺も自然と涙が流れてきた。
「私のこと・・・ 忘れないでね❤️!」
「ああ・・・ もちろんだ!」
後は俺も梨沙も何も喋らなかった。それでもお互いの気持ちは伝わった。
そして最後に梨沙は唇を指で指してこう言った。
「次はここに・・・ 期待してるね❤️」
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