第86話 あなたを好きな理由

「に、逃げちゃっていいの・・?」


「まぁ大丈夫でしょう・・ 多分・・」


多分って・・ 心配だなぁ。まぁ結衣が言うなら大丈夫だろう。


「快斗くん・・ 私があなたのことを好きなのは本当です❣️ それだけは覚えておいて下さいね❤️」


「・・ああ。わかってるよ・・」


笑顔でそう言う結衣はとても眩しく、そして可愛いかった💕 俺はついつい見惚れてしまっていた。


「どうやら無事だったみたいね」


「あっ! 由香さん!」


「お姉様!」


俺がぼーっとしていたら、どこからともなく現れた。ほんとにつかめない人だ・・


「お父様はかんかんだったわ・・ 次こそは結衣を結婚させるんだって吼えてたわよ?」


「ええ、望むところです! そして私もいつか快斗くんと💖・・」


なんか勝手に夢を見られても困るんですけど・・ 俺も照れるし💙


「何はともあれ由香さん、色々ありがとうございました」


「そうですね。今回だけはお姉様のおかげです。ありがとう」


一応感謝の言葉は伝えておく。事情を話してくれたのも由香さんだしな。


「ふふふ。快斗くん、結衣のこと。責任取ってね❤️」


そう言って行ってしまった。やっぱり変わった人だよ。そもそも責任ってなんだよ?


「では快斗くん・・ そろそろ戻りましょうか?」


「あ、ああ。そうだな・・」


由香さんも行ってしまったし、みんなも心配してることだろう。特にあかりなんか・・

その後、俺たちは無言で歩いた。正直何を話せばいいのかわからない。話題も続かないしよ。なんか気まずい・・


「そういえば快斗くん・・ 私のこと・・・ 責任取ってくれますか?」


「え、えーっと・・」


急に話題を振ってきたと思えば・・ だから責任ってなんなんだよ? どうすればいいんだ?


「私はこれ以上ないくらい、快斗くんのことが好きなのです❤️! それはなぜだかわかりますか?」


「い、いや・・ わ、わからん・・」


い、いきなりそんなこと言われても・・ 恥ずかしい・・


「それはね❤️・・」


と思ったら、結衣倒れこんできたかと思うと、キスしてきた。ま、また⁉︎


「あなたはこのキスを覚えていますか?」


ん? ちょっと待てよ・・ この体勢・・ この感触・・ そしてこの顔・・ 今、改めて結衣の顔を見て、記憶がフラッシュバックする。


「ゆ、結衣・・ お前は・・」


「そうです、快斗くん。私は12年前、あなたに会っているのです・・」







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