第84話 橋本家登場⁉︎

「嫌です!」


「これは命令だ! 失礼のないように・・」


命令・・ それは絶対に逆らえないものだ。結衣にとっても。結衣のお父さんは橋本家を迎えに行くために静かに去っていった。こりゃあ相当怒ってんなぁ・・


「もう〜 困ったお父様ですね💢」


「はは・・ でも結衣、さっきのはやり過ぎじゃ・・」


「別にいいじゃないですか❤️? そもそも私が快斗くんのことが好きなのはほんとですよ❤️?」


多分、そのキスで怒ってるんだと思うけど。そりゃあ、娘が見知らぬ男とキスしてると怒るよなぁ。


「ではてっとり早く橋本家に挨拶しておきましょう」


「うっ・・ 緊張する・・」


一般人の俺からしたら、橋本家に会うなんて緊張する。しかも今日は思いっきり喧嘩売りに行くような感じだしな。

俺たちはさっき来た廊下を戻っていった。その時、小さいころの結衣の後ろ姿の写真を見たのだが・・ 妙に懐かしいような・・


「快斗くん? 早く来て下さい❣️」


「お、おう。すまん・・」


まあ今はそれどころじゃない。なんたってあの橋本家がすぐそこにいるのだから・・


「橋本閣下がいらっしゃいました」


そして、執事の声が家中に響き渡る。ついに来たか?


「結衣! こちらは橋本財閥の会長の橋本健太郎さんとその息子の白夜くんだ! しっかりご挨拶しろ!」


「まあまあ雪村さん、堅苦しいことはなしで・・ 結衣ちゃんだったかな? 私が橋本健太郎だ。よろしく頼む」


少しふっくらとした身体におっとりした顔。しかし威厳のある目からは、ただ者ではないオーラが出ている。


「私が息子の白夜です。結衣さん・・ やはりあなたはお美しい。やはり私の花嫁にぴったりです」


そしてこっちの男が橋本白夜。イケメンだが・・ これは少々厄介な相手だな。


「初めまして。雪村結衣と申します。今日は遥々来ていただきありがとうございます」


結衣がきちんとした挨拶をしている。そうだ、俺も何か言わないと・・


「俺・・じゃなくて私は赤坂快斗です。どうぞよろしく・・」


俺もきちんとした挨拶をした。返ってきたのは言葉ではなく、無言の睨みだったが・・・

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