第55話 デートってこんなに楽しいのか⁈

「ど、どっちが運転するんだ?」


「え〜っとねぇ・・ じゃあ私で!」


近い。とにかく近いって・・ いくら横に座ってるだけだとはいえ、意識してしまう。俺、落ち着け!


「では、レッツゴー‼︎」


「お、おお〜!」


なんか結衣のテンション上がってきてんなぁ。車に乗ってるだけだと思うんだが・・ まぁ楽しけりゃなんでもいいだろう。


「ゆ、結衣! そ、そこ右だって!」


「え、えっと~! これをこうして・・」


結衣の運転は・・ 壊滅的に下手だった。右に曲がるのにハンドルを左に回すとかありえないんだけど・・


「きゃあ!」


「お、おいおい! 危ね・え・・」


ほら言わんこっちゃない。カートが思いっきり障害物にぶつかってしまった。


「いてて・・ ゆ、結衣? 大丈夫か?」


俺はかろうじて無事だった。なんかクッションに落ちたみたいなんだけど・・


「そ、その・・ 手をどけてもらえる・・?」


「あ⁉ ご、ごめん」


うっかり。うっかりだぞ? その・・ 結衣の胸に飛び込んでしまっていた。はぁ~ またやってしまった。


「ゆ、結衣? その・・ もうやめた方が・・」


「さぁ、気をとり直して! 行きますよ~!」


「お、おい!」


その後は・・ 最高と言うべきか、最悪と言うべきか・・ 結衣の胸を触った回数はもはや数え切れない。結衣って運転能力なさすぎだろ。その・・ あれだな。才能ってやつだな。


「か、快斗くん。その・・ 調子に乗りすぎました。すみませんでした」


「ま、まあスリルはあったんだし・・ 良かったんじゃないか?」


ここで結衣を傷つけるわけにはいかない。俺はこういうところで優しくなれる男なのだ。俺、成長したぞ!


「やはり快斗くんは優しいですね。そういうところ、私は好きですよ❤」


「そ、そうか? ・・ありがとな」


思わぬ報酬ゲット。しかも照れるなぁ。あれ? 俺だんだんキャラ変わってきてるような気が・・・


「ではそろそろ帰りましょうか」


「そうだな」


今日は楽しかった。結衣の意外な一面も見れたし・・ 俺もなんか積極的になってたような・・


「では最後に写真を撮りましょう!」


「ん? ああ、そういえばそんなことを・・」


そういえば、最初に来た時に写真を撮ったんだったっけ? それであの時結衣が何か言ってたような・・・


「はい、ちーず」


その瞬間世界が変わった。結衣が俺の口にキスをしてきた。ほんの数秒だったのかもしれない。でも俺にはすごく長く感じた。


「ふふふ。ちゃんと始めから進歩しましたね」


やっぱデートって楽しいぜ~~!

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