第4話 これだから幼馴染は
「よろしくね。小説パートナーさん❤️」
昨日のあの言葉が頭から離れなかった。俺は昨日、ついに妹の心を開くことが出来たのだ。まさか、あの人気小説「それでも私は兄が大好きだ」の作者が妹だったとは。驚くにもほどがあった。何はともあれ俺は妹と一緒に小説を書くことになった。相変わらず妹は学校にも行かず、部屋から出てきてくれないが。
「ねぇ、ねぇ、快斗ってば、聞いてるの」
「ああ、ごめん、考え事をしていてな」
「ねぇ、さっき言ったこと約束よ」
「??」
何のことだ?全く話を聞いていなかった。まずいな。こいつは何を言い出すかわからない奴だから。
「な、なんのことだ?」
「さっき言ったじゃない今日の放課後、勉強教えてって」
まずい。非常にまずい。いや、聞き間違いかもしれない。もう一度聞いた。
「だから、今日の放課後あなたの家に行くわよ」
「いや、今日の放課後は・・・」
「何?」
「何でもないです」
はぁ~。やっぱこいつには逆らえない。美少女の特権だな。
「またお前らイチャイチャしてる」
「お熱いですねぇ」
「ヒューヒュー」
どいつもこいつもわかってないな。こいつに勉強を教える大変さを。しかし、困ったな。家には妹がいる。この前やっと打ち解けたのにまた関係を壊すわけにはいかない。あいにく俺は大人の対応ができる。そこらでからかいあっている高校生ではないところを見せてやろう。
「おじゃましまーす」
なぜこうなったんだ。確かに俺は、
「お前のことは好きだ。でも今日は家にわざわざ来なくてもいいんだぞ」
と言ったはずだ。その後周りが冷やかすものだからさすがに恥ずかしくなって美香がなんて言ったか覚えていないのだが。まぁ来てしまったものは仕方がない。素直に勉強を教えれば帰ってくれるだろう。俺は早速リビングで教えることにした。そして二時間後、
「も~全然わかんないし疲れたよ~。少し休憩しようよ~」
まだ二時間しかやってないではないか。まぁこいつにしては頑張った方だろう。俺は少し休憩をとることにした。
「快斗~二人きりなんだし少しは甘えてもいいんだよ」
「俺の気がおかしくなる前にそのテンションをやめろ」
危ない危ない。こいつそれなりに可愛いんだからついつい本気になってしまうだろう。いい加減自覚してほしいものだが。
「そんなこと言わずにさ。それぇ」
強引に押し倒され危うくキスをするところだった。髪のいい匂いだ。てか手にやわらかい感触があるんですけど。
「な、な、な、なにしやがるんだ」
「照れちゃって、可愛い💕」
もう勘弁してくれよ。脳みそにあの感触が残ってしまった。
「そろそろ勉強を再開させるぞ」
「ええ~もうちょっと位いいじゃん」
「だめだ。一体お前はここに何しにきたんだ」
「遊びにかな」
こういうことを平気で言えるからこいつに勉強を教えるのは大変なんだ。俺はゴタゴタ言う美香を強引に勉強に戻させた。俺だって自分の時間削ってるんだぜ。少しは真面目にやってもらわないと。
「快斗~ここはどうやるの?」
「ここはこうしてだな・・・」
意外と楽しくなってきたな。美香に勉強を教えるのもいいものだ。
「お前はすぐに理解してくれるから嬉しいよ」
「そぉ?ありがと❤」
だからその顔やめてくれって。ほかの男子だったらイチコロだぞ。俺と美香の勉強タイムは瞬く間に過ぎていった。気付けばもう夕方の5時半だった。ふいに美香がこんな事を言い出した。
「快斗ってさぁ、妹いたよね?」
この何気ない一言、これは結構まずいぞ。
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