第250話 迷宮の裏側
地下二十階層のその先に広がっていたのは、さらに二十階層の
「とりあえず……アルメラとログナに、任せて問題ないよな?」
「何だよ、面倒臭えな……俺は強さを見せつけるとか、そんなことに興味があるほど若くないぜ?」
「何を言ってんのよ、ログナ……
ログナとアルメラは二人だけで、
「嘘だろう……魔術士なのに、どうして平然と前衛で戦ってられるんだ?」
アルメラは戦士のカバーなど全く必要としておらず。身体強化と支援系の魔法だけで、
「あら……何を言ってるのかしら? 魔法があるんだから、護衛なんて必要ないでしょう?」
カイエは思う――エストやロザリーなら、盾役の
「おい、アルメラ……そのやり方は正解じゃない。おまえのやり方だと、そのうち破綻する……だけどなあ、それで良いと思っているところが、一番気に食わないんだけよ」
面白がるように笑うカイエに――アルメラは妖艶な笑みで応える。
「だって、私はこの方法しか……カイエの気を引けないって、自覚してるのよ!」
カイエにとっては自分など何の価値もないと、アルメラは解っているから――気を引くためなら命の一つや二つくらい賭けると、彼女は不敵に笑う。
「いや、そういうのは良いから……最後まで二人だけで行けるんだよな? 俺は暫く見てるからさ……証明して見せろよ」
「……当然だわ」
その言葉通りに、アルメラとログナは疲れすら見せずに
「アルメラ……さん。貴方が凄いって事は解ったけど……」
負けず嫌いのレイナも、アルメラの実力を認めていた。しかし同時に、命をコインのように賭ける彼女のやり方が理解できなかった。
「どうして……そんな戦い方をするのよ?」
「まあ、レイナには解らないだろうな……俺にだって、本質的な部分は理解できないからな」
このまま二人に戦わせても良いが……アルメラとログナの実力と
「アルメラ、おまえたちの趣味にいつまでも付き合うつもりはない。ここからは――俺の好きにやらせて貰うよ」
カイエが放つ魔力に――
そして三十分と掛からずに、カイエは第四十階層のボスまで蹂躙した。
「いや……別に良いんだけどよ」
「あら、ログナ……別に文句なんて言う必要はないじゃない? カイエのした事に……私は興奮してるんだから! こんな面白い事……滅多に目れないと思うけど?」
呆れ顔のログナに、ケラケラと笑うアルメラ。そして『暁の光』のメンバーたちは、完全に引いていた。
「そ、そうよね……わ、私も面白いなって、思ってたところろよ!」
レイナは無理して笑う――このとき、ログナだけが違和感を感じていた。
「なあ、カイエ……一応、言っておくけどよ」
「何だよ、ログナ……何か気づいたのか?」
面白がるように笑うカイエに、ログナは確信する。
「カイエ、あんたさあ……本当に性格が悪いよな? ハッキリ言えよ……この下に、何があるんだよ?」
興奮で震える声に、アルメラがニンマリと笑う。『暁の光』のメンバーたちも反応して、マジマジとカイエを見た。
「
そう言ってカイエは、床を破壊する一撃を放つ――その威力は四十階層の全てを崩壊させるほどのモノだった。
「「「きゃゃゃ!!!」」」
レイナとアルメラ――ノーラまでが悲鳴を重ねる。そして彼らが落下した先は……深淵のような暗闇の中だった。
「ここまで辿り着くとは……我の予想の上を行く強者のようだな!」
縦ロールの豪奢な金髪――女性型の
「おまえさ……もっと面白い歓迎の仕方とかないのか?」
広大な空間で、彼らを待ち構えていた
カイエは『混沌の魔力』を使うまでもなく。
「な……貴様は何をしたのだ?」
何が起きたのか理解できずに、顔面蒼白の
「うちの
カイエに脅されて――恐怖に打ち震える金髪縦ロールの
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