第196話 水の迷宮(3)
色々とありながら、『カウンシュタイナーの水の迷宮』を攻略したカイエたちだったが――
「
ラスボスである
「それって……どういう事? もしかして……海の中に、裏の階層があるとか?」
悪戯っぽく笑うローズに――
「ああ、正解だよ……ローズ。やっぱり、おまえには勝てないな」
カイエは面白がるように笑う。
「まあ、騙されたと思って。一緒に、海に潜ってくれよ……最高の景色を、プレゼントするからさ」
海水に満たされた広大な空間には――
それ以上に、魅力的で神秘的な
「え、嘘……可愛すぎる!」
興奮気味のローズに――カイエは優しい笑みを浮かべる。
彼が裏の階層を知っていたのは……人外のネットワークに参加しているエレノアの入れ知恵だった。
『あんなに良い子たちが、一緒に居てくれるんだから……カイエも、たまにはサービスしなさい!』
(エレノアねえさんには感謝かな……みんな、楽しんでるみたいだし)
カイエは優しい目で、彼女たちを眺める。
「ねえ、ローズ……その気持ちは解るけど。一応、
エストは自分に言い聞かせるように呟きながら――涙を振り絞って、
「いや、エストは真面目過ぎるって……別に、こいつらを仕留めなくても。この
その圧倒的な力に……
「良し、おまえら……可愛いだけの馬鹿じゃないおかげで、命拾いしたな」
「これって……ちょっと違うわよね? 従者のように服従させるとか……こうなると、可愛さ半減じゃない?」
アリスは抗議するが――
「「可愛い従者とか、カイエ……素敵!」」
乙女モード全開のローズとエストは……瞳にハートマークを浮かべる。
「うわあ……海豚とか、鯨とか、人魚とか。ホント……まるで夢の世界だよね?」
「そうだね……実は僕だって、可愛いのも大好きだから!」
などと言いながら――エマとメリッサは幻想的な
「え……ちょっと、待って! エマもメリッサも……何で、そんな事をするのよ!」
「そうだ、二人とも……この子たちが、可愛そうだとは思わないのか?」
乙女モード全開のローズとエストを余所に――
「え……だって、可愛くても
「ああ、そもそも……この可愛さって、倒されないためのあざとさだよね? 見掛けなんかに……僕は騙されないから!」
意外なほど現実的なエマとメリッサに――アリスは感心する。
「ホント、意外よね。ローズとエストと、エマとメリッサは真逆だとは思ってたけど……良い意味で、裏切られた気分よ」
「アリスさんだって……意外と言うか。物凄く優しいのよ……」
ゴスロリ幼女は――ビキニスタイルのアリスのパレオの裾を掴んで……ちょっと恥ずかしそうに、彼女を見上げる。
「アリスさんが乙女なのは……ロザリーちゃんは、知っているかしら!」
円らな瞳で見つめられて――
「ちょっと……止めてくれる? 私のイメージが狂うでしょ……」
珍しくデレるアリスを……カイエは不意打ちで、強引に抱き寄せる。
「そうか? アリスが乙女だって……俺は知ってるけど?」
「あのえね、カイエ……幾らあんたでも好き勝手やるなら……私だって、怒るわよ?」
「ああ、怒ってくれよ……怒ったアリスも、可愛いからさ」
真顔で言うカイエの破壊力に――抵抗できる筈もなく。
「そいうの……カイエのくせに……ズルいわよ……」
アリスは目を閉じて……濃密な甘い時間が訪れるのを、待ち侘びていたのだか――
「アリスも……意外と、詰めが甘いわよね?」
「まさか……私たちが指を咥えて、放置するとか思っていた訳じゃないだろう?」
「だけど、アリスって……実は私たちの中で一番、夢見る乙女かなって。前から私は、思ってたよ……ゴ、ゴメンね、アリス……怒らないで!」
ローズ、エスト、エマの三人に
「まあ……良いけど。私だって……自覚してるから。ええ、そうよ、解ってるわ……私が一番、子供だって!」
真っ赤になって白状するアリスに――
「ええ、そうね……アリス。でも、アリスが私たちのお姉さんだって、私は思ってるわよ」
「ああ、そうだな……私も最初に頼るのはアリスだから……」
「そうだよね……アリスは可愛いけど。頼りになるお姉さんだから!」
ローズもエストもエマも……想いは一つ。
勇者パーティーの長女は――アリス以外に、あり得ないのだから。
「僕なんかが……言うのも何だけど。アリスがいると、みんなが安心すると思うんだ」
「メリッサのくせに……生意気ですのよ! ロザリーちゃんだって、アリスさんがいるから……安心して、頑張れるのよ!」
魔族のギリギリ美少女と、ゴスロリ幼女の告白は……アリスの琴線に触れる。
「ちょっと、待って……みんな、反則だから……この私を、篭絡するなんて……ズルいわよ……」
アリスの頬を伝う温かい液体を――カイエは優しく拭って……舐める。
「ちょっと……しょっぱいかな? でもさ……アリスの味がするよ」
生々し過ぎるカイエの台詞が……良い雰囲気に、爆弾を落とす。
「カイエ……それは、やり過ぎ!」
「アリスだけが特別だとか……まさか、カイエは言わないだろうね?」
「ズルいよ、アリスだけ……私のことも、舐めて欲しいんだけど!」
全身全霊で、不満を顕わにする三人に続いて――
「僕は……五番目だって自覚してるけど。アリスだけとか……そういうのは……我慢できないよ」
「ムッキー! メリッサ、何が五番目ですのよ! アリスちゃんを差し置いて……そんなの、あり得ないかしら!」
ギリギリ美少女と幼女の声が――深海に佇む
「やっぱり……おまえたちといると。ホント飽きないよな」
そんな彼女たちに……カイエは内心で、感謝していた。
こうして、『カウンシュタイナーの水の迷宮』は。カイエたちにアッサリと攻略されたのだが――
ちなみに、裏面のラスボスは
『『そ、そんな……こんな可愛い
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