2ー83★異常事態?
『えーっと、そのぉ~…、アタルさん…何ともないと言うのは…?』
フェンが様子を伺うように俺に話を聞いてくる。
そして、その顔色を見る感じ…
と言うか、今彼は俺に何ともないとは?
と聞いてきた…
聞いてきたと言うことは…
『えっ…何ともないって言うのは…さっきの光の事なんだけど…』
『光って何です?』
さっきのフェンの質問返しから何となく予想はできたのだが…
やはり通じない。
俺が気絶する原因になったであろう光の事が…
二人で俺の事を不思議そうに見ているばかりだ。
あまり二人からジロジロと見られると自分が可哀想な人なのかと錯覚してしまいそうになる…
『えーっと、そうか…んーなんと言えばいいのか…』
二人に光の事を説明できない俺は言葉につまってしまう。
『はい、大丈夫ですよ。アタルさん少々疲れぎみだったと言うことですよね?』
フェンが優しく声をかけてくれるのだが…
なんか、その優しさ逆に緊張すると言うか、返事に困るとでも言えばいいのか…
『んー、まー、そうかもしれないけど…そう言えば、ノルド達がまだ帰ってきてないと思うんだけど…』
俺は、今の状況で二人に光の事を説明や聞いたりできる自信がない。
二人の様子を見る限り原因は分からないが、俺だけに起きた事象と言うことも考えられる。
もし仮にそうであった場合、俺の方で確信もできていないのに説明などできるわけもない。
なので、あの光の事は一旦、横に置いておいて俺は帰らない三人の方に会話を持っていくことにした。
『はい、実はそれの事なんですが、少々どうすれば良いのか困った状態になってまして…』
やっぱり、こっちの内容はすぐに話が通じる。
俺は二人と共通の会話内容があることに、安心感を覚えた。
とは言え、話の内容は直ぐに伝わったのだが、フェンの方からは何やら深刻な内容ですと言った雰囲気が伝わってくる。
『困った状態?』
『はい。そうです。とりあえず外に出て、実際に見ながらお話しすると言う方が理解も早いと思うのですが…』
見て話す方が理解が早い?
フェンのこの言葉に俺は引っ掛かりを覚え、彼の手引きの元、先ず俺は二人で小屋の外に出る。
そしてその際に彼の口からフィリアは万が一に備えて小屋の方で留守番をするよう提示されたのだが…
(と言うことは、何かが起きるかもね…)
と思い事態が何らかの形で異常となっているのを想像する。
小屋の外に出ると、窓からでも確認できたとおり、日の光はすっかり落ちて一面星空の夜の世界。
たぶん日を改めてみることなれば、綺麗だと言っていたことだろうが、今は残念ながらそれどころではない。
それになにより、こんなことは正直、気絶から覚めた直後窓を見た瞬間に確認している。
頭が混乱していた状態でも理解できたことなのだが…
『あれ…フェン。外は別に夜って言うだけで、確認することはないんだけど…』
『はい、この辺りは結界の影響もあって全然大丈夫なんですけど…問題は、あちらの方です』
フェンは、そう言いながら小屋と反対側の方を指差す。
俺は別に疑いもせず彼が指差した方へと進んでいくと…
とんでもない光景があった。
恐らく小屋から歩くこと数十メートルといった地点。
その位置に、モンスターが見える。
それも1匹や2匹どころではない、と言うか…
これ数えられるのか?
と言うほどの数のモンスターが見えるのだ。
多分と言うか絶対に、俺が冒険者として活動するようになってから目撃したモンスターの数より、今周囲に確認できるモンスターの数の方が多いのではないか。
そう思わせるほど大量のモンスターでひしめき合っている。
そして確認できるのは、もちろんモンスターだけあって…
どのモンスターも俺たちを見ると息を荒げ牙をむき出しにして今にも襲ってこようと言う表情を露にするのだが…
どのモンスターも一切、距離を詰めてこようとはしてこない。
だが一歩でも俺たちが結界の外に足を踏み入れると、一気に襲ってくるのだろうなと言うほどの雰囲気は感じる。
なので恐らくだが、モンスターたちはノルドの結界の領域内には入ってこれないと言うことなのだろう。
『なー、フェン。この状況って…なんなの?』
『いやー、詳しい原因は僕の方でもわからないんですけど…多分ですけど、フィリア様の話を聞く限りではアタルさんが眠った頃と被るのかなとは思うのですが…』
『えっ…?俺が眠ったのと被る…?』
フェンとフィリアの中では俺は気絶したとか、意識を失ったではなく眠ったと言うことになっているようだ…
ハッキリ言って、二人との感覚の差にあまりにも開きを感じたのだが、今はそれどころではない。
ここまで来ると三人が帰ってきていないと言うことは、このモンスターの群れが関わっているであろう事は、今の俺でも予想がつく事実だ。
となると三人の安否と言うのが非常に気にかかる。
だが、今の段階では不確定要素が多すぎるので、先ずはそれらを少しでも少なくするためにフェンと話をしておくことが重要なのだろう。
『はい』
『とは言ってもだけど…』
と言う会話の最中。
俺の耳に以前聞いたことある声が響いてきた。
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