2ー69★グリエルモの能力
トーレとの会話を切りのいいところで終わらせ少し時間を潰していると、ある部屋の扉が開いた。
先程、グリエルモが入った部屋の扉だ。
そして出てきた彼は、俺を見つけるなり一礼をしてきた。
『どうも、グリエルモさん。どうやら様子の方をみると渡した薬と言うのは効果があったようですね』
『はい、お陰さまでありがとうございます。このご恩は、必ずや何らのかの形でお返しいたしますので』
先程あったときは上半身を包帯で覆っていたのだが、今は包帯ではなく黒のアンダーウェアのような物を身に付けている。
恐らく、通常であれば鎧などを着る際の下に身に付ける物、俺が今身に付けているノルドから渡されたシャツと同じよう物なのだろう。
『いや、そんな畏まらないでください。と言いますか…本当に全快したんですか?さっきまでは包帯ぐるぐる巻いている感じだったんですけど…』
『はい。もらった薬の分量も問題ないほどの量でしたから、この通りです!』
(確かに量だけはじゅうぶんすぎるほどあったよね…それだけは分かる)
そう言いながら、グリエルモはその場で軽く左右の腕を回したり、跳び跳ねたりをしていた。
恐らくは、問題なく全快ですよ、という彼なりのアピールなのだろう。
『それでしたら良かったです。ただ、回復した早々で申し訳ないのですが、今のところ問題の全てが解決ということでもありません。なので早い内に今後の行動について、ある程度の話をして起きたいのですが、良いでしょうか?』
『ナカノ殿、気になさらないでください。私の方としても貴殿には聞きたいことも多くありますゆえ、無論、異論はございませんが、トーレ殿の方はどうしたのでしょうか?』
若干、聞きなれない喋り方をする目の前の人物に戸惑うが、時間が惜しい今。
俺は無駄な突っ込みをしないで話をすることにした。
『トーレですか?彼女には、先にある程度話をしておきました。そしたら外出の準備をしなければということで今は庭の方に出ると言ってましたよ』
『庭ですか?』
『はい、あいつ。
『なるほど、それであのグレートウルフがなついていたのですか、とするならば彼女はさぞ良い
『へー、そうなんですか。って、そっちの話をしてしまうと先に進んでいかないので、今後のことについてなんですけど…とりあえず彼女が外出の準備をしている理由は、明後日以降に貴方と一緒に
『トーレ殿とですかな?私の方としては、てっきりナカノ殿と一緒に
『最初、別行動をした連中と話したときも、そんな感じで意見は出ていたんですけど…ただ、
『なるほど。確かに、あのグレートウルフであれば二人乗って一気に駆け抜けるのもいいかもしれません。ただ…速さというのを考えるのであれば、もっと速い方法というものもございますが』
『もっと速い方法ですか?』
『はい。私の特性を上手く使えればの話になりますが…』
『えーっと、すいません。もっと詳しく話してもらえませんか?』
『ええ、ですがその前に一つ確認させてください。あの
『あー、はい。と言いますか、それについては色々とあるみたいですが、ただ俺の周囲とかにも亜人はいますからね。まー、そこまで気にすることもないと思います』
『では、それであればもう少し楽に行くと言う方法もあります』
『もう少し楽に?』
『はい、私はご存じだと思いますが、鳥人族という鷲の亜人です。そして、私は
何か以前に聞いた気がするのだが、いかんせん覚えていない…
ただ、話のニュアンス的に亜人の能力関係のことだという察しはつく。
そこでこの時、俺はフィリアに最初に会ったときのことを思い出してみることにした。
確か彼女の話では、自分が国を出るきっかけになったのは大きな鷲に捕まれて大きな木に連れていかれたと言っていた気がするのだが…
ん?
大きな鷲に捕まれて…?
あれ?
『あー、もしかしてグリエルモさん。俺を掴んで飛んでいこうとか考えてますか?』
『はい。人一人くらいであれば可能だと思います』
俺の記憶に間違いがなければ、グリエルモは傷だらけの状態にも関わらずフィリアを掴みある程度の距離を移動していたはずだ。
彼が移動をした距離というのは正確には分からないが、ただ国の大騒動から逃れるほどの距離なのだから、かなり長い時間と距離というのは、ほぼ疑いようがないだろう。
そして、その時の彼はかなりの傷を追っていたはず。
それが今では全快状態となっている。
と言うことは…
やり方によっては、もう少し楽に
確かにグリエルモの言うように、もう少し楽に都市まで行く方法がありそうだ。
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