2ー68★トーレとの再会
『よっ、トーレ!待たせたな!』
『あれっ……、ナカノ様?お一人で来たのですか?』
俺はノルドの小屋で、みんなとの別れを済ませた後、地図で中間値点の位置を確認しながら
『あー…うん。複数で来るとなると精神の減少が追い付かない可能性があるからな、一人できたよ』
『一人でって…、詳しい位置とかは聞いてはいませんでしたが確か山頂付近辺りに行くとか言ってませんでしたか?』
『そうだね。確かに山頂付近だね』
『そこから、ここまで…どうやって来たんですか?』
『あー、まーそれについて詳しい話聞かせてもいいんだけど、せっかくこれ持ってきたから早めに渡してあげてもいいかな?』
俺は、そう言いながら自分のアイテムボックスから
『失礼しました。確かにこちらをグリエルモ様にお渡しするのが先ですね。詳しい話はそれからにしましょう。それでは中へお入りください』
と言う彼女の言葉に続いて、俺はトーレと一緒に取りあえずトラボンの別邸の中に入っていった。
★★★
『ナカノ殿、ありがとうございます。まさかこんなに早く治療薬を、それもこんなに大量に手に入れることが出来るとは思いませんでした』
そう言いながら、俺から治療薬を受け取ったグリエルモは、何度も礼をいっている。
『あー、いや。全然気にしないでください。なんか訪ねた先の人がレシピ?を持っていたのと、俺たちの仲間の一人に
『なるほど、そうでしたか。そのレシピを持っていた方と
『フィリアさんは、そのレシピを持っていた人のところに取りあえず預けています。おそらく、この後グリエルモさんが傷を治して
『はい。ありがとうございます』
『ええ、後は…その薬なんですけど…背中とかも一人で塗れますか?』
『鏡とかもありましたので、恐らくは大丈夫だと思います。それでは私は一度ここで失礼します』
そう言い、グリエルモは治療薬を両手いっぱいに抱えて奥の部屋に入っていく。
その光景を見ながら、俺は薬の量は明らかに多すぎだなと複雑な気持ちになってしまった…
『はい、ナカノ様。それではお昼御飯を食べながら先ずは、先程の続きと今後のことの両方を聞かせてもらえますか?』
トーレがそう言いながら、目の前のテーブルに料理を並べてくれる。
『トーレ、ありがとう。うん。お昼まだだったし遠慮なくいただくよ』
『はい、どうぞ。それでこれからですけど…どうやって
『いやー、多分戦いは最後の最後かな…恐らく俺一人であれば問題なくスキル使って
『それって…スキルを連続使用してということですよね?
洞窟までは行動を共にしていたトーレ。
その時の状況から、
『あー。それは心配なくなったよ。一応、精神減少を緩和させてくれる装備品というのを借りててね、以前とは比べられないほどスキルが使いやすくなったんだよね』
『へー、そんなのがあるんですか…?』
『うん。一応、山頂付近からここまで来るのに使った
『へー、なるほど。そんな凄い装備品と言うのがあるんですか~』
トーレは目を大きくして感心しましたと言うような表情をしている。
だが、そんな表情をしながらもなにか腑に落ちないと言うような顔をして続けざまにもう一言…
『それで、ナカノ様。ここから
『うん。ダメかなぁ?』
恐らくトーレは俺が「一人で行動するだけなら」と言ったことで、ある程度の事を察知できたのだろう。
『ダメと言いますか…、それだと恐らくは私がグリエルモ様を連れて都市まで行くと言うことになりますよね?』
『出来るなら、それが一番効率がいいと思うんだけど…』
『なるほど、効率はいいんでしょうが…ただそれだと、こっちの用事が…』
『こっちの用事?』
『はい、以前ナカノ様にはトーレは普段この別邸で
『あー、トラボンさんとの話の時に聞いたね』
『ですよね。それで、グリエルモ様を
『あー、なるほど…トーレの中では普通に離れるつもりはなかったということか…』
『そりゃー、旦那様に呼ばれる以外はここで暮らしてるんですから』
『その準備って、そんなに時間かかるのか?』
『うーん。恐らくなんですけど三人で今からやれば明日いっぱいには終わるとは思うんですけど…』
確か昨日のフェンとかの話し合いの中では、もっとも懸念されるべき問題は俺とティバーのすれ違いだったはず。
だが、そのすれ違いだって、別にある程度の余裕があるようなことを言っていた気がする。
と言うことであれば、トーレの準備を手伝っても延期されるのは一日程度でしかない。
ティバーは調査員連れて徒歩で都市へ戻るはず。
それであれば、今ごろついたのか?
もう少しでつくのか?
その後の手続きなども考えると…
まだ日にち的には余裕があるように思う。
『分かった、トーレ。それじゃー、グリエルモさんを待って、出てきたら詳細を話して準備を始めよう』
『ありがとうございます、ナカノ様』
ニコッと笑ってお礼を言ってくるトーレ。
悪のりしてこなければ、とっても魅力的な女性なんだよなと思いながら、俺は彼女の事を見ていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます