2ー62★これからの行動
『えーっと…フェン…。
『はい、もちろんできるはずですよ』
『そっかー、それなら先に話し合いの方を優先しようか』
『そうですね。そうしていただけると助かります。先ず間違いなく、メンバーの中でアタルさんが最も忙しいのでしょうから』
俺はフェンがつい使用してしまったと言うスキルにより、ノルドと思わぬ取引を契約書つきで結んでしまったようなのだが、そうは言っても今は他の者も集めて話し合いの真っ最中。
本来なら契約書の中身を確認したいとは思うのだが、そうすると話し合いの進行をストップしてしまうことになる。
ざっと確認した限りでは、幸いと言うか何というか罰則的なものはなかったので、先ずは話し合いの方を優先することにした。
『先ずは、フェンから
『はい、そうですね。その際は、出来れば今、アタルさんがお持ちのギーとスパイスを置いていっていただけると嬉しいのですが…』
『あっ…そうだね。忘れてた。後で渡すね。っで、それとレシピ?を入れるで良いのか?あの、アンテロが今借りてる小さい容器みたいなやつ…あれはいらないの?』
『はい、ナカノ様、あれは商業系ギルドでレシピの登録と言えば買えるはずなので大丈夫です。後でナカノ様には、そういったことに関わる費用と、武器や防護などもお渡ししますので』
『えっ…武器や防具?』
『はい、それらは一応なのですが…今お持ちのものだとあまりにもその…』
ノルドがそういいながら若干、顔が半笑いに見える。
確かに俺は装備品に金をかけてないけど…
山の中で過ごす彼にとっては、どうやら疑ってしまうような装備なのだろう。
そう言えばアンバーとかはしっかりと防具などもしっかりと装備していた気がする。
まー、基本はスキルで移動することになるので、武器や防具のお世話になることはないだろう。
『うん。分かった、ありがとう。それで、トーレの所に行ったらグリエルモさんに薬を使用して治療するんだよね?それはポーションとか
『はい、そうです。それで、その後はアタルさんには
『無理?』
『はい。と言うのも、一番効率的なのはグリエルモさんと一緒に都市に行くことなんですけど、それを行うとアタルさんの精神が持たない可能性がありますから、トーレさんの拠点まで移動したときに自信がない場合は先ずはアタルさんが一人で都市に行き、グリエルモさんの方はトーレさんと相談しながら決めてくださいね』
確かにトーレの拠点からグリエルモと二人でスキルを連続使用した場合、俺の精神消費はとんでもない量になるはずだ。
そうなると、フェンの言うように途中で力尽きるという可能性もある。
そして、恐らくそう言ったことを懸念してノルドは俺に武器や防具を渡すのだろう…
俺としては遠慮せずにトーレに頼りたいと思う!
『そうだね…慎重にね。慎重に…。了解、それで都市に着いたら先ずは何を優先すれば良い?』
『都市に着いたら、先ずはティバーに会うのを最優先にしてください。市局の手続きをしているはずなので可能性は低いですが、もしかすると彼らはここで落ち合う約束だったのですれ違う可能性もあり得ます』
『うん。俺、彼らの家とか知らないんだけど…』
『彼らは恐らくですが市局か
『うん。分かった。それでフェンの手紙を渡して、バビロンに行って貰うんだっけ?ってことは、彼らが受けているだろう市局の手続きを俺が引き継ぐってことになりそうだな…それで、その間に商業系ギルド行ったりすれば良いのか』
『そうですね。その辺りはグリエルモさんを待ちながらになると思いますので、それほど急がなくて大丈夫だと思います。そして、その後、落ち着いたらここまで来てくれれば大丈夫ですから』
『それって…
『ティバーを待ってたりするとかなり空くと思いますし…そうなりますね』
『うん。分かった。それで都市の手続きをしてグリエルモさんの本格的な所在とかって都市が用意してくれるんだよな?』
『確か調査員の方が、そう言ってましたね』
『だよね。じゃー、それとかも全部分かって報告できるようになってから戻ってきた方がいいよね!』
『『『……』』』
(あれっ…?俺なんか変なこと言ったか?)
フィリアが笑顔で頷いてくれると思ったのだが頷かない。
それどころか…
誰一人俺の言葉に反応を見せなかった。
『ん…?俺、なんか変なこと言った?』
『あっ…いえ。そう言うことではないですよ。別に変なことは言ってないですよ、アタルさん。大丈夫です!気にしないでください!後、アンテロさんとエルメダさんには別行動になると言うことは、僕からも言いますけどアタルさんからも言っておいてくださいね』
『了解!後、二人への説明の他にさっきの契約書の中身も確認しておきたいから、俺ここで一旦抜けさせてもらって良いか?』
『はい。そうですね。僕は構わないですよ』
フェンのこの言葉に続くように、ノルドとフィリアの両名も無言で頷いてくれたので、俺は話し合いの部屋から抜けることにした。
★★★
ナカノがいなくなって暫くたってもノルドとフェン、フィリアの三名は依然として部屋の中にいた。
『でも、フィリア様。あれで良かったのですか?』
『はい。昼間お話ししたように、これが彼にとって最も良い方法であるというのであれば、ワタクシは喜んで受け入れます』
何ともやるせない表情を見せた二人の横で、一転の曇りもない笑顔でフィリアは答えた。
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