神業(マリオネット)

１ー２４★食事会直前

フェンとの食事会の当日、朝はアイテム運びに、討伐と通常通りの仕事をこなした。

もちろん討伐の仕事に関してはエルメダとイーグルの面々と一緒にこなしている。

夕方になり討伐の仕事も終わるとヘンリーが俺に聞いてきた

『話してくれた食事会って今日ですよね？みんなお邪魔して大丈夫なんですか？』

『全然大丈夫ですよ。ただ、子供たちも普通にいるので酒は無しですけどね』

フェンの話だとなるべく多くの反応が見たいらしいので、孤児院の子供たちの他にイーグルの面々とモルガンも呼んでいる。

交遊関係の余り広くない俺の方はこれくらいだったが、後はフェンの方でも何人かは呼んでいるようだ。

ちなみに酒は無しというのはラゴスに注意の意味を込めてである。

ドワーフだけあって仕事終わりの酒は欠かさないらしい。

『分かった。酒は行く前に済ませておく…』

（飲むのは譲れないのね…）

なんとかラゴスへの了解も得たところで、俺は準備もあるので一足先にエルメダと孤児院に向かうことにした。

エルメダは早い時間から若干ソワソワしていたように思える。

今も俺がイーグルの面々と話している中、横から俺の服の袖を引っ張ってきた。

『じゃー、エルメダ、準備もあるしムーブで先にいこうか！』

『はい！』

『あー、私は何もないから一緒にムーブで連れていってよ！』

『ソフィアさんは、一緒にいきますか？いいですよ分かりました』

『それではナカノさん後程！』

ということで俺は、エルメダとソフィアの二人をつれて孤児院に向かった。

孤児院に向かうと、横の空き地にアンテロが長台と簡易の棚を設置してくれていた。

どうやら子供たちと一緒に準備をしてくれたらしい。

（ちょっと申し訳ないな…）

『こんにちは！アンテロさん、すいません準備の方を子供達と一緒に任せる形になってしまって』

『こんにちは、ナカノ様。気になさらないでください。準備の方を子供達と行ったのは、子供達が早くごちそう食べたいなんて言い出したからです。』

『あー、そんなにごちそうと言えるほどでもないんだけど…って、フェンは来ているのかな？』

子供達にごちそうするのもそうだが、一番の目的はフェンに反応を見てもらうことだ。

なので、本人を探そうとするとアンテロが孤児院とは別側にある入り口を見るように言ってくれた。

見ると遠巻きながら見づらいが、5人ほどの団体が見受けられる。

その中に一人大きく手を振っている一人の男が見えた、フェンである！

『ナカノ様、フェン様ってロスロー商会のフェン・ロスロー様のことだったのですね。最初、見た時はビックリしました。』

『あれ？言ってませんでした？でもロスロー商会って、そんな有名なんですか？』

（知り合いの商人、フェンとしか言ってなかったか…）

『商人系ギルドのマスターが確か身内の方だった気が…ただそれを除外してもこの都市では間違いなく一番の商会だと思います。』

意外な情報をアンテロから聞いて、メンバーも揃ってきた。

後は子供たちの腹を満たしつつ、フェンにしっかりとアピールしていくだけだ。