第21話 入院患者・美章園とどり その③
21.
「ところで」
話がひと段落した辺りで、
「あなたたち三人は、どういう集まりなの?」
一番流暢に喋る星井が、説明をする。
「私と
「『マザーグース』は女子だけで形成していることはもう気づいているんだね」
「今の言葉を聞くまで確証はなかったけど、なんとなく」
「その、ふたりの用事って……聞いちゃってもいいものなの?」
星井と響木はまた顔を見合わせて、こくりと頷いた。
「いいですよ。そんなに大したことじゃないんですけど……私らふたりの先輩に、その名前と同じ『能力』を使う人がいたの」
「その名前って、『マザーグース』?」
「はい。私も、寧々ちゃんもその人に助けてもらったことがあって、その人はこの五條高校に入学してから、しばらくして姿を消したんです。消息を絶ったんです。それで、私と
「そういう事情だったのね」
「ねえ」
響木が口を挟む。
「少し関係のない話なんだけどさ。みんなは『ぷよぷよ』ってする?」
「ぷ――ぷよぷよですか?」
卯月が問い返す。
「そう、あのパズルゲーム。私はたまに遊ぶんだけど、あれっていろんな色のぷよを積み上げて、連鎖して消していくってゲームじゃない。私は連鎖が上手くいかなくてついついまとめて消しちゃうんだよ」
「寧々ちゃん、何を言ってるの? 別に今その話しなくてもよくない? ぷよぷよだかテトリスだか知らないけど」
「まあ、別に今しなくてもいいんだけど……なんか考えていたら、今ってまさにそういう状況なんじゃないかって思って」
「そういう状況……?」
連鎖ではなく、まとめて消す?
積み上げられたものを、まとめて、消す?
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