合唱曲と共に、自殺して残暑

作者 すまい近道

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★★★ Excellent!!!

非常にストレートな死を巡る青春小説です。

クラスメイトの飛び降り自殺、その原因を突き止めようとする美少女と主人公。三人とも音楽好きで、教室での賑やかな合唱から始まるこの物語はしかし、常に静謐な緊張感を孕んでいます。

年の割に落ち着いているようで同級生の死を境に狼狽え張り詰めた魅力的な登場人物や、その滔々とした文体は惚れ惚れするようでした。でも、読み進めれば進めるほど、どんどん背筋にゾっとするような感じがしてくる。平凡な日本の高校を舞台としているのに、いつ誰が死んでもおかしくないような気がしてくるのです。足元まで迫っているのに、騒ぎ立てることもできないこの危機感や息苦しさはなんだろう。きっとそれこそが彼ら・彼女らがまさに直面している自殺や希死念慮にまつわる問題――死――に近づいた時の感覚なのではないか。そう思わせてくれる凄みに後半は圧倒されていました。

そして、この作品の素晴らしいところの二つ目は、呪いにも似たその緊張感を振り払うことにも成功していることです。本作は紛れもなく一切のおふざけや衒いもなく、テーマに対して真摯に取り組んでいます。自殺の動機からもっと重大で切実な謎を追い求めていく少年少女がいかにして答えを得るのか、是非みなさんにも読んで確かめてほしいです。