「Negative / Positive」

さくらが散ってしまった

花冷え 花曇りの候

さくらが散ってしまった

花散らしの風と雨の候

今年も見事なさくらだった…

去年 あの樹の下で「あなた」と泣きながら見たさくらが


月齢24.5 有明月

月の出は遅く 下弦の月にも会えない

去年と同じように用事で街に出て

去年と同じように用事を済ませて

ケヤキの新芽を見ながらカフェ・ラテを飲んでいる

去年のことを懐かしく思い出す

どんよりした空の向こうに「あなた」を探している

あのときと同じアーケードの下を歩き

ショーウィンドーに「あなた」の姿を探していた

同じ時刻 頭上に輝いていた月を想い

同じ時刻 迫ってきた夕闇のなかを 私は…


星の運行と同じように

周期的に起こる事象

周期的な出来事

過ぎてしまえば 不思議な出来事

なぜ 私はあそこまで激しい反応をしたのだろう?

なぜ 私はあそこまで思いつめたのだろう?

「あなた」のことで 確かなことなど何もないと

それでも事実は残ったのに

「あなた」のことで 確かなことなど有り得ないと

それでも体験は残ったのに

なぜ 私はすべてを否定したのだろう?

それが 振り返るべき過去 認めるべき真実


「心」は天秤のように揺れ傾く

「名」を思い出せば もっと違っていたのかもしれない


光と影 天使と悪魔 表と裏 虚言と真実

二元論的な考え方から脱しなければ

永遠に繰り返されるということなのかもしれない

光は影を含み 影は光がなければ生まれない

天使は悪魔と同義であり

表がなければ裏は存在しない

虚言は真実であり 真実は虚言になる

どちらかに傾けば「世界」は崩壊する

そうして この「世界」はバランスをとっている

そうして 私はこの「世界」に立っている

そういうことになるのだろうか?


その答えを知っているのは あのさくらだけなのかもしれない

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