「6」

0:21

何ヶ月ぶりかの呼吸法

湯舟につかりながら 目を閉じて意識を落としていく

本当ならこんなところでこんな事をするべきではないのだろうが

誰にも邪魔されずにひとりになれる場所がここくらいしかないから

冷えきった体を湯で温めながら 氣を巡らせようとしていた

薬を飲んで効き始めていた所為もあるのだろう

意識はすぐに緩慢になった

体の全てを弛緩するようにイメージを巡らす

意識が落ちるか落ちないかの瀬戸際で私の体に起きた変化

急に体の中心 ちょうどみぞおちの下

左側から何かが入り込む …いや違う 

何かが外側に出ていく …いや違う

何とも形容しがたい感覚が生まれた

どんどん体の中心へ向かって広がっていく

言葉にするなら「冷たい」

しかし体表面は湯の温度を感じていて温かい

物質的な「冷たさ」ではない

でも明らかに「冷たく」なっていく

湿った「冷たさ」…氷のようではなく 水のようでもなく

初めて体感する「冷たさ」

氣が外へ抜けて 脱力感を伴う「冷たさ」とはまったく違う

そんな変化

0:24

目を開けて時計を見る

ほんの3分間の出来事

その部分に手を当ててみても 

表面的・内面的に「冷たく」なっているわけではなかった


湯舟から出て ルーンに問う

「パース」正位置

そういえば この場所がティファレトなのか


「Critical Point」で書いたわたしの嘆きを

しっかり「彼」が聞き届けてくれたのかもしれない

はっきりと

わたしにわかるように示してくれたのかもしれない

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