「Gebo」

休みの日に家から離れることが多くなった

家にいると 「彼」と話すことができないから

家で 深紅のバインダーに記録を取ることはできないから

記録を取っているとき 1度何かに中断されてしまうと

頭痛を引き起こしたり 精神的な負担が大きいとわかったから

1週間に1、2回家から離れることが多くなった

時間にして1時間 多くて3、4時間

それが「今」のわたしにとって

「このこと」を続けていくための最良の方法だと信じて


「彼」がそのための時間を確保してくれる

わたしがルーンに向かうために必要な時間を生み出してくれる

本当なら休日出勤のはずなのにひょんなことから休みになる

そんなことがここしばらく数回続く

ちょうど2日前の日曜日もそう…


「第四の書」を読んで考えて macで日記を書いて

深紅のバインダーに記録を取って 最後にiTunesを開いた

ずっと延び延びになっていたことをしようと

いつも 何かをしながら聞き流していたHGAを集中して聴こうと

iPodのイヤホンをmacに繋いでHGAを再生する


聞き慣れたリガルディの声が聴こえる

高く低く朗々と流れる守護天使の召喚

5、6分聴き続けながら いつもと違うことに気がついた

意識がある1点で止まらない むしろ逆に散漫になる

イヤホンをして結構なボリュームでHGAを聴いているはずなのに

店に流れるなんでもないBGMが耳元でがなりたっているような気がして

BGMの音がだんだん大きく聴こえるようになり 

リガルディの声がだんだん小さく聴こえなくなる

これが「第四の書」にあった脳と意識の抵抗なのかな?と思い 

どうしたらいいのかルーンに問う


「ゲーボ」


一瞬 どうして「ゲーボ」?と思ったが

ふいにヴァリアンテの書いた文章がよみがえる

魔女が儀式の時に身体につける印 それと

水をはった大釜に入れる小さなコイン…


白いキーボードの真ん中にルーンを置き 

それを見つめながら聴き続ける

意識を「ゲーボ」の接点に合わせていくと

さっきまであんな気になっていたBGMの音が小さくなっていった

やがて iTunesが画面から消える

設定時間を超えてしまったので節電モードになったからだ

真っ黒な画面 それでもリガルディの声は止まらない

真っ黒な鏡に映る自分の姿を見ながらHGAを聴き続ける

長いような短いような不思議な時間

18分10秒


あとから「ゲーボ」が十字であることに気がついた

長さの等しいギリシア十字

十字に円で霊を表わす記号

ヘブライ文字のタウ

エジプト文字のアンク

そして薔薇十字


やっぱり わたしは「彼」に助けられている

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る