「General Anesthesia」

どうしてか あのときのことを想い出す


右手に点滴のチューブをつけられ 処置室へ入る

酸素マスクをかけられ

左上腕部に筋肉注射

これがおそらく前投薬の鎮静剤

そのあと

白いガーゼで目隠しをされた

そのほんの少しの隙間から見えるシーン

意識を失うほんの少しのあいだに見えたシーン

点滴チューブの分岐点から注射器で注入される透明な液体

全身麻酔用の薬液

大きな注射器1本分の投与が終わると注射器ははずされた


意識がだんだん遠くなる

目も開けていられなくなり

真っ白な光だけをガーゼ越しに見ながら目を閉じる

おかしなことに意識の喪失だけはなかった

ほんの少しだけ自分の意識が残っている

それでも時間の感覚の喪失


途中で名前を呼ばれ 左鎖骨部からもう1本注射

これがおそらく筋弛緩剤

この注射が効力を表わすともう身体の自由は利かない

指一本動かせない

恐ろしいまでの麻痺感

頭の中で思考は廻るのに外に繋がっていない奇妙な感覚


やがてその感覚が無くなる頃 4~5時間後

意識が目覚めた

哀しいまでの喪失感とともに…

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