「Evening Air」
彼と見上げた夜空
車の通りもほとんどなく
通る人もほとんどいない
自分たちの歩く足音しか聞こえないほどの静けさ
さくらが咲くほど春なのに
吐く息が白くなるほどの気温
ところどころある街灯に自分の影を映しながら
趣きのある町屋をそぞろ歩きしながら
時折 見えてくる
温かい店の明かりを遠くに近くに見ながら
その夜の闇の中にいることが何だかうれしかった
同じ場所で同じ時間を過ごせることがうれしかった
彼と見上げた夜空
あのときと同じ夜空が
いま
ここに広がっている
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