10.5 藤壺の宮の出家

✈✈✈Let' go to SenmojiGenji


 中宮さまは桐壺院の一周忌を行うの。


~ 別れにし 今日けふは来れども 見し人に 行き逢ふほどを いつと頼まん ~

(故院にお別れした日が来ましたが、今度はいつ父に会えるでしょうか)


 源氏が中宮さまに歌を贈るの。


~ ながらふる ほどは憂けれど 行きめぐり 今日はその世に 逢ふ心地して ~

(生きていることは辛いですが、一周忌の今日は亡き院さまにお逢いできるような気がします)


 桐壺院を偲ぶ気持ちは源氏と同じなので、中宮さまもすぐに返事をくださったの。


 それから何日かして中宮さまは法事を開くの。1日目は自分の父親である先帝のためで、2日目は母后のためで、3日目が桐壺院のためで盛大な催しなのね。そして最終日に中宮さまが出家をなさるって発表されたの。誰も知らないことだったみたいで、お兄さん(紫の上のお父さん)の兵部卿宮も源氏も気が動転しちゃうの。


~ 月のすむ 雲井をかけて したふとも このよの闇に なほや惑はん ~

(出家のお志は尊敬するけれど、お子(東宮)さまのことは心配ではないのですか?)


 源氏が宮さまに贈った歌ね。(自分たちの)子どもとも別れてしまうのですか? 大丈夫なんですか? って聞いているみたい。


~ 大方おほかたの 憂きにつけてては いとへども いつかこの世を そむきはつべき ~

(俗世からは離れますが、子どものことは気がかりでなりません)


 宮さまの源氏への返歌だけれど、東宮さまに宛てたお返事でもあったようなの。


 出家するということは男女のお付き合いができなくなることなので、源氏はこれで決定的に宮さまから別れをつきつけられちゃったのね。生きているけれど、ある意味お別れ。源氏はこれで二度と宮さまとは結ばれないとひどく落ち込むの。



 右大臣の権勢がすごくて、左大臣側の人間や藤壺の宮さまなどに仕えている人たちの昇進がなくなったりして、左大臣の息子の頭中将も冷遇されてたの。左大臣も政界から引退しちゃうの。

 そんな状況だったのに、源氏と朧月夜は彼女の実家(右大臣の屋敷)で密会アバンチュールしちゃってるの。雨と雷がすごかった夜があって、右大臣が心配して朧月夜の部屋にやってくるの。そのとき源氏もそこにいて、とうとう右大臣にバレちゃったの。当然右大臣は弘徽殿大后(朧月夜のお姉さんで朱雀帝のお母さん)にもチクったの。もちろん弘徽殿大后は怒髪天を衝く怒り様で

「帝の寵姫ちょうきに手を出すなんて帝への謀反じゃ~~~!!!」

 と騒ぎまくったわ。これを機に源氏を追放してやる! って息巻いたの。



第十帖 賢木



To be continued ✈✈✈


🖌Genji Waka Collection

~ 大方おほかたの 憂きにつけてては いとへども いつかこの世を そむきはつべき ~

出家する藤壺の宮が残した歌


◇第十帖賢木でした。

episode10 別れ、別れ、それから密会   賢木

10.1 六条御息所の決断

10.2 別れの秋、涙の朝

10.3 父の死

10.4 手紙魔?

10.5 藤壺の宮の出家


 ふたりの女性との別れにお父さんとの死別といろいろなお別れのシーンの多い巻でした。

 それからとうとう密会がバレてしまいました。朧月夜尚侍も源氏とデートがしたくて実家に帰省しちゃってました。源氏も敵地である右大臣家で密会を重ねていました。……、そりゃバレますよね。

帝の妃だった藤壺の宮さまとの逢瀬は命がけだったのに、今回はそこまでの緊迫さはありませんでした。

 このことを知った朱雀帝のお母さんの弘徽殿大后はチャンスとばかり源氏を失脚させようとします。


「帰省先の実家で密会ってコワすぎ! バレるに決まってんじゃん!!」

 そうなんですよねぇ。

「っていうか、朱雀帝と結婚したあともどうして付き合ってんの?!」

 そうなんですよねぇ。どう思います? こまちちゃん。

「バカじゃん」

 一刀両断。こまちちゃん、気持ちがいいです。

 



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episode11 ココロ安らぐ里   花散里

11.1 心優しいカノジョ


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