episode8 似た者同士のふたり?    花宴

8.1 朧月夜の出会い

🌟花宴はなのえんざっくりあらすじ

 春になり、源氏は宮中でひとりの女性と出会い恋に落ちます。あとでその女性が自分の兄である東宮(皇太子)の后になる予定であることを知ります。この女性が朧月夜の君です。


【超訳】花宴はなのえん

源氏 20歳 紫の君 12歳

藤壺中宮 25歳 葵の上 24歳


✈✈✈Let' go to SenmojiGenji


 桜の季節になり、桐壺帝がお花見の宴を開いたの。藤壺中宮さまや、弘徽殿女御こきでんのにょうご(源氏のお母さんをいびった人ね)や東宮さま(弘徽殿女御の息子)など宮中の方たちが勢ぞろいする中で源氏は「春」というお題で漢詩を詠むの。声も詩の内容も素晴らしいんですって。それから東宮さまが源氏に桜の花をお与えになって、秋の青海波が素晴らしかったから春の春鶯囀しゅんおうてんの舞も踊るようにリクエストするの。頭中将とうのちゅうじょうも同じく詩を詠みあげて、ふたりで舞も踊るの。青海波は秋の紅葉のときだったけど、いつの季節もこのふたりが宴の主役なのね。


 藤壺の中宮さまも源氏の美しい様子に心の中でこんな歌を読まれたんですって。

 

~ 大かたに 花の姿を 美ましかば つゆも心の おかれましやは ~

(後ろめたいことが何もなければ美しいあなたの姿を眺めていられるのに)


 桜の舞を踊る源氏のステキさを心から素晴らしいと思っているけれど、あんな罪をおかしているのだからそんな風に想ってはいけないわ。あなたのことも想っているのに。この想いは自分の心に閉じ込めておかないといけないのよ。源氏の君にも知られてはいけないわ。中宮さまの複雑な心境が伺える歌よね。



 宴会もお開きになってほろ酔いでいい気分の源氏は藤壺の局(宮さまの住んでいらっしゃるお部屋)のあたりをうろつくんだけれど、きちんと鍵がかかっていて忍びこめないのよね。

 ついでに弘徽殿(弘徽殿女御の住んでいるお部屋)のあたりを通ると鍵がかかっていないの。お部屋(お屋敷)に入るとひとりの女の子がこんな和歌を口ずさんでいたの。


~ 照りもせず 曇りもはてぬ 春の夜の 朧月夜に 似るものぞなき ~ 

(新古今集:大江千里おおえのちさと 淡くかすんでいる春の朧月夜が一番の月夜なことだ)


 すぐに恋に落ちる源氏はこの女の子を和歌で口説きはじめるの。


~ 深き夜の あはれを知るも 入る月の おぼろげならぬ 契りとぞ思ふ ~

(こんな深夜の月が好きだなんて俺たち気が合うんじゃね?)


 朧月夜っていうのは春の夜の霞んでいる月のことね。



To be continued ✈✈✈


🖌Genji Waka Collection

~ 大かたに 花の姿を 美ましかば つゆも心の おかれましやは ~

藤壺の宮が源氏を想いひとりつぶやいた歌



◇何人目でしょうね。また新しい女の子の登場ですね。宮中での宴会だけれど藤壺の宮さまに直接会えないし、宮さまのお部屋(藤壺)に行っても鍵がかかっていては入れません。一方、弘徽殿は鍵がかかっていません。

「こんな不用心にしてるとマチガイが起きちゃうんじゃね?」

 なんて言いながら源氏は弘徽殿に侵入してしまいます。


「……マチガイを起こすのは誰よ?」 

 そうなのよ。こまちちゃん。

「藤壺の宮さま一筋に想っているのかと思いきや誰でもいいわけ?」

 困ったものですね。  



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8.2 あの子は誰?



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