3.2 空蝉のこころ
✈✈✈Let' go to SenmojiGenji
源氏は空蝉が残していった
「こんなに嫌われているなんてな。もうさ、俺なんて
源氏は小君相手に文句を言ってから、持って帰ってきた小袿を抱きしめて眠るの。
しばらく目を閉じていたけれど、
~ 空蝉の 身をかへてける
(キミは蝉が殻をぬけるように小袿だけを残していったけど、それでもキミのことが懐かしいんだ、恋しいんだよ、忘れられないんだ)
軒端荻にも何か書こうかと思ったけれど、結局何も書かなかったの。一晩一緒に過ごした軒端荻には文を書かないで、一緒に過ごせなかった空蝉に文を書いた源氏。
「ホントになんてことしてくれるのよ」
文を持って行った小君はこちらでも姉の空蝉からもお小言を言われるの。
「返事はありません。あるわけないでしょう」
そう言って小君を二条院に帰した空蝉だったけれど、こころのなかでは、結婚していない娘の頃ならどんなにときめいたかしら、って思っていたの。
源氏からいただいた文の紙の端に、
~ うつせみの 羽に置く露の 木隠れて 忍び忍びに 濡るる袖かな ~
(本当の気持ちは誰にも言えないわ。わたしもひそかに、涙で袖を濡らしているなんて)
こんな歌を書いていたんですって。
……、やっぱり好きになっていたのね。
第三帖
To be continued ✈✈✈
🖌Genji Waka Collection
~ 空蝉の 身をかへてける
源氏宰相中将が空蝉を想いつぶやいた歌
~ うつせみの 羽に置く露の 木隠れて 忍び忍びに 濡るる袖かな ~
空蝉が源氏を想って密かに詠んだ歌
◇第三帖空蝉でした。
episode3 つかみどころのないカノジョ 空蝉
3.1 もう一度逢いたい
3.2 空蝉のこころ
彼女が立ち去るときに衣装を残していったので「まるでセミの抜け殻みたいだ」って源氏が感じたところから彼女を「空蝉」と呼ぶようになったみたいです。この巻のタイトルにもなりました。
この時代お互い名前を呼びあったりはしません。原作『源氏物語』でも主語は「君」や「女」などで、読み手が「源氏のことだな」「伊予の守の妻のことね」と推測しなければなりません。それではわかりにくいので訳者の方たちが主語が誰の事を指しているのか明記し、この「女」は「空蝉」のことだよと名前をつけてくれました。
「名前を呼ばないって不便じゃない?」
現代では考えられませんよね、こまちちゃん。
「誰が誰だかわかんないじゃん」
本当にね、こまちちゃん。
NEXT↓
episode4 年上の彼女と癒しの彼女 夕顔
4.1 夕顔との出逢い
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