第6話~トランプで真剣勝負!!~

「………おぅ、来てやったぜクソガキ二人組。さっさと始めようや」

「その前にアンティ賭けを決めさせてもらう」


 ゲームワールドのゲーム内では、プレイヤーの任意で『アンティルール』即ち約束事や、私物品を賭ける事も出来る。その交渉はゲームワールド管理において認証を受け、それが許可された時に改めて成立します。

 そしてその交渉は、


「俺からは『近所のゲーセン、ゲームプレイ内での暴行、迷惑行為を一切しないこと』を約束しろ。――お前はどうする?」

「……じゃ俺様は、『我が伊火様のグループでお前ら二人にどんな命令にも従え』だ! 2度と逆らわせないようにな!!」


 このアンティに、ギャラリーとなる不良連合軍・伊火様のグループはギャーギャー騒ぎ立てる始末。親玉が負けるはずはねぇ、青二才が出しゃばんなと中指突き立て煽り立てる。無論剣はそんな雑音に聞く耳を持たない。



「良いぜ、受けて立つ!」

 と言うと剣はモニターにアンティの交渉要請を出した。


「剣くん………」


『アンティの内容が認定されました。アンティ成立』



 トランプは色々知ってるけど『スピード』って何?って人もいるでしょう。

 ごく一般のトランプゲームなので、ここで読者の皆さんにも『スピード』のゲーム説明をしておきましょう!


 ★★★


 PLAY GAME No.2

【トランプゲーム・スピード】

 ・ジャンル『カードゲーム』

 ・プレイヤーレベル:10


 ※プレイヤーレベルは幼児期に遊べるゲームをレベル1とする。


 概要

 一対一のシングルゲームで行う対戦型トランプゲーム。主に瞬発力や体力を使うため、トランプ特有の運要素が少ない。


 ルール

 1.ジョーカーを除いた52枚のトランプを、絵柄を見ながら赤(ハート♡とダイヤ♢)と黒(スペード♤とクラブ♧)の2組に分け、両者が1組ずつ持つ。


 2.プレイヤーは自分が持っているカードを、裏を上にしてよくシャッフルする。

 シャッフルし終わったら、シャッフルしたカードを相手に渡す。


 3.プレイヤーは自分の前の場に表向きに4枚のカードを置く(場札)。残りは裏のまま持つ(手札)。


 4.「スピード!」という掛け声で手札の一番上のカードを、自分の場札と相手の場札の間(場の中央付近)に表を上にして、2人同時に置く(台札)。2つの台札が出来ることになる。


 この時、2人とも次の動作に移れない場合は、どちらかが出せるようになるまで行う。


 5.場札の中に台札と一つ違いのカード、例えばA→2や10←Jなど(KとAは一つ違いとみなす)があれば、場札を台札に重ねて置くことができ、その場札が新しい台札となる。

 場札が3枚以下になったら、手札から補充して4枚にする。


 どちらのプレイヤーも前項の操作を続けることができない場合、もう一度 4. から始める。

 こうして早く自分の手札を無くしたプレイヤーが勝利となる。


 ★★★


 ジョーカーを取ったトランプ52枚だけで出来る簡単なゲームですから、皆さんも是非やってみてね。


「ルールは1セット一発勝負! トランプはさっき買った未開封新品ので行う! ――始めようぜ!!」


 そう言うと剣はP-ストアで購入した未開封の新品トランプを取り出し、【ディールシャッフル】でカードを混ぜる。


 ★【ディールシャッフル】★

 テーブルで複数の場所に順番に1枚ずつカードを配っていく。

 全てのカードを配り終えたらテーブルの上にできたいくつかのパケットを重ねて一つにまとめる。

 時間は掛かるが、カードを痛めずに確実にカードを混ぜる事が出来るシャッフル技の一つである。

 ※プレイギアゲーム辞典アプリ『G-バイブル』より引用


「……モタモタしてんじゃねぇよ、内職やってんじゃねぇんだぞ?」

「いいから黙って待ってな」


 服部の煽りにも剣は動じてない。常にクールである事が、ゲームにおける強者の証でもあります。

 その後剣は赤(♢♡)と黒(♤♧)のデッキに分ける。服部は赤、剣は黒を取った。


「こっからは自分でカードを切るぜ」


 お互いはカードの束を、二つに割っては下から上へ重ねてシャッシャと細かく混ぜる。これは日本で一般的な『ヒンドゥーシャッフル』というものである。

 剣は優しく傷付けないように、服部は粗雑にカードを切っていく。一瞬、服部の方で手先から違和感のある切り方をしたのを剣は目を光らせた。


「準備はいいか?」

「あぁ、何時でも良いぞクソガキ」


「クソガキじゃねぇや! 俺は桐山剣や、覚えとけ!」


 互いにデッキをセット。そして場札が4枚ずつ並ぶ。後は中央に捨て札を出すだけ。


『READY……』

 用意のアナウンスコール、そして掛け声は一つ……!!


「「『スピード』ッッ!!!!!」」


 始まった! 開始と同時に2つの捨て山に滑り込むようにカードがポケットに入り、上乗せされる!

 その速さは互角、いや剣が一歩リード!! 一方の服部も追い付こうと必死!

 服部の場札に連番♢4・5が並んだ!

 4を捨て山に置いて5置こうとした瞬間、剣の♧3が置かれ連続を阻止する!!


 攻守交互に剣は冷静に対処していく反面、服部はただがむしゃらにカードを処理する他無かった。

 場札に捨てるカードがない。一旦呼吸おいてのブレイクだ。


(……大したプレイじゃねぇな。所々に焦りが見えている。余裕が無い分、隙も大きくなるのが分かる)


 冷静な剣の解析は正しかった。一方の服部は……


(何て奴だ、涼しい顔をして全く隙が無い。それに連番で攻めてもその間を割り込んでペースが掴めなくなる。――――だが俺様にはがある……!!)


 執拗に、勝ちに執着する服部の持つ“切り札”。不気味な笑みを含ませつつ、桐山剣に向けるは鋭い眼光。

 スピードの捨て札は硬直状態。山札から新しいカードがオープンした瞬間に止まった時は動き出す。―――さぁ、どう動くか……!?


「……続行だ」

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