浮き足立った心を見て

ただの一日

ただ区切りである一日

何かを振り返り

何かを願う

それだけの一日


商店に人が群がり

客引きの大声が響く

チョコレートが山ほど袋に詰められる

マグロの赤身の塊が

数の子が

明太子が

ごっそりと手渡される


一年を振り返るのに

そんな装置が

必要なんだろう

カレンダーの最後に

たどり着いたことが

どこか人を寛容にさせ

何かを認めて

労う気持ちになるのは

僕には不自然だ


一年には

三六五日がある

毎日毎日

みんなが生きている

それなら

毎日

労ってあげるべきだ

一つの缶の飲み物

ちょっとした食事


一年の最後に

全てを押し流すつもりか


でも

ただの一日だ

そして、世界が終わる日でもない

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