笑わない人

テレビの中で

歌を歌うあの人

感情の伺えない

無表情で

ギターをかき鳴らして

声を発する

時々

顔をしかめるのが

唯一の変化で

そこにだけ

わずかに心が浮かぶ


歌という表現

演奏という表現

創作という表現に

もしかしたら

彼女の感情は

今は必要ないのかもしれない


彼女の様子や

表情ではなく

彼女の作品が

曲が

詞が

声が

何よりも明確に

彼女の感情を

彼女が訴えたいことを

表している


もしかして

彼女の姿は

彼女の表現には

不要だろうか?


芸術という

何もかもが

表現

という一点に集約される

非人間的な

非情な世界

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