野蛮の美学

目の前に

肉の塊があったとする

よく焼けていて

脂が滲んでいる

美味そうな匂い

それを自由に食べていい

そう言われて

さて

どうやって食べるだろう


ナイフやフォークで

綺麗に削ぎ落として口に運ぶ?

手が汚れないように

気を使って食べる?

いやいや

それでは少しも

美味くないよ


汚れも何も無頓着に

手掴みで口に運ぶ

まるで獣みたいに

かじりつく

唇の周りが汚れても

構わずに

ガツガツと

礼儀も作法も

何もないままに

最後まで一息に食べる

食べ終わったら

指を軽く舐めて

手首のあたりで

口元を拭う


これが野蛮な食事の

正しいやり方

美の反対にある

また別の美だ

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