地図のない世界

偶然性が

全てを支配して

設計図なんて

どこにも存在しない


その損も不足も

利益も満足も

たまたま転がり込んだ

何かの余波に過ぎない


どこかの誰かが

あなたより得をしている

満たされた生活をしている

あるいは

あなたよりはるかに損をして

困窮の中にいる


大概の人間は

そんな大きな山か谷の間を

行ったり来たりして

騒いでいるのに

過ぎないんじゃないか?


転がり落ちる姿を

山の頂で咆哮する姿を

どこか遠くから眺めて

どちらにも属さない自分に

満足している


もしここに

一枚の地図があり

安全に山の上に立てるなら

きっとあなたは

地図を握りしめて

歩き出すだろう


なぜ

地図がなければ

歩けないのだ?

地図なんて

なくて当たり前なのに

みんな

地図も持たずに

歩いている

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