多重人格のあの子

どこか幼いあの子は

世界で一番のパフォーマー

スピーカーから流れる

歌に合わせて

くるくると人格の変わる

捉えどころのない

でもとびっきりの

魅力的な女の子


周りのみんなはついていけない

彼女だけが一人で

彼女の世界で踊ってる

時に激しく感情を爆発させ

時にふらふらと自失した様子で

踊り続ける


観客たちは大喜びで

そんな彼女の様子に

喝采を送る

十年に一度の天才?

いや

それとも五十年?

もしかして

歴史に残る存在?


歴史の目撃者になれるなんて!

リアルタイムに

彼女を追いかけられるなんて!


その熱狂は

彼女がステージを降りれば

そこで終わり

スポットライトも消えて

アナウンスが

閉幕を告げる


彼女が舞台から去ると決めた時

みんなが憶測を口にしたけど

本当に大事なことは

真実よりも

彼女の踊りなんじゃないか?

今まで見せてくれた

彼女の踊りこそ

本当に尊いものなんじゃ

ないのか?

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