行方不明

居場所がない

自分がない

ただそこにいて

ただ呼吸をしている

誇れるものも

自信を持って示せるものもなく

自分の中に

これが

と示せるものが

何もない


誰かのいいなりになっても

何も手に入らなかった

誰かのいいなりになっていれば

何かが手に入ると

そんな風に教えられたはずだった

指示に従い

それをこなせば

それで何かが立ち上がってくる

そういう話だったはずだ


今になってみれば

それは従わせる人間の

全く嘘っぱちの方便だった

言われるがままに動いている姿は

さぞや滑稽で

言われるがままに動く

便利な手下だったことだろう


僕の中には

何も生まれなかった

僕という存在は

もうどこかに消え去って

僕は僕ではなく

ただの空白になった

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