時間を超えて

二十年前に聞いたラジオ番組の

かすかなノイズが

耳に届いた気がした


声でもなく

息でもなく

ただのノイズ


現在の

全くノイズのない

綺麗なラジオ番組は

十年

二十年が過ぎた時

どんな音を記憶に残しているんだろう


大勢の言葉が

耳から頭の中に入っている

どれだけの声を

どれだけの話を

覚えていられるだろう


あまりに音が綺麗すぎて

とっかかりもなく

見えない穴の底へ

全てが落ちていくようで

不意に怖くなった


今日も耳元で

話は続く

時間を超えて何が残るのか

わからないまま

音は

言葉は

滑り込んでくる

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