吸血鬼のプライド

作者 王星遥、或いは濃茶

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★★★ Excellent!!!

夜道で吸血鬼に襲われた男性と、その発した呟きから始まるちょっとした騒動のお話。
スラップスティック的な軽いコメディです。冒頭、絶体絶命の緊迫した場面から、一転して脱力感溢れる掛け合いへ。この導入部の助走というか、しっかり丁寧に効かせたタメが好きです。
コメディ的な流れになってもなお『命がけの状況自体はまだ継続している』という、つまりギャップ効果を一時的なもので終わらせない、そのための説得力としてきっちり機能しているのがすごい。同様の理由で、ところどころ差し挟まれる吸血鬼の強者らしい部分なども(窓を殴る力の描写とか)。ふたりそれぞれの必死さが伝わると同時に、状況との落差でコミカルさが浮き立つようでした。
なによりすごい、というか本当に最高だったのが、構成というか章立てです。ネタバレになるので詳細は伏せますが、二章に突入した瞬間のこの感覚。本当に好きです。そして章題も。シンプルな三文字の潔さに、でも胸を撃ち抜かれるような破壊力。切れ味の鋭い作品でした。

★★★ Excellent!!!

上から目線高貴吸血鬼少女ちゃん!属性てんこ盛りの可愛らしい吸血鬼と獲物となった人間のどことなくコミカルで可愛らしいやりとりのある作品です。
吸血鬼の伝承をうまく活かしているのもすごく良くて、とてもわかりやすい導入ですんなり物語に入っていけました。

★★ Very Good!!

 最初の最初で少女吸血鬼に押し倒されているというホットスタート。フィジカルではどうあっても敵わないという描写を挟んだ上で、そこから展開する怒涛のレスバトル(レスバトルではない)の速度が気持ちいい。
 こういう掛け合いのリズム感というのは勢いを殺したら終わりのチキンレースじみたところがあるのですが、きっちりと制御しているのがまず上手でした。
 腕力で敵わず、吸血鬼というルールに守られながら言葉で対等となり、そして最後に立ちはだかる難関。主人公が相対せねばならないものが短い中でくるくると変わるのが気持ちのいい読み口でした。

★★★ Excellent!!!

 セロハンテープにそんな使い方が!?……な、吸血鬼と出会う物語。この吸血鬼の傲慢さがたまんないですね。噛みつかれたくなる。もし現実に吸血鬼と出会っても、そういう風に思ってしまうかもしれない。恐ろしきものの美しさに気を取られて……そんな風には思わずにいられない物語でした。