第4話 動悸
一
たっぷり肥えた小動物
かと思ったら 老婆
三角コーナーで何してんの
生ゴミになったの
老婆はさっき
私に暴言を吐いた
弾丸も尽きたころ
般若と泣き女の境を
右往左往していたんだ
私はそれを
ただ見ていた
二
「ナナカマドの葉がずいぶん落ちましたね」
「落ちていません」
「ほら見て、これはナナカマドの木です」
「そうですね」
「枝の葉がないでしょう」
「そうですか」
よくもまあ
ぬけぬけと
「実は落ちるのですか」
「落ちるわけありません」
罵るように
嘲るように
三
イエスと言わない男の、イエスの判別
ノーと言えば、ノー
ノーと言っても、イエス
こちらが、イエスと解釈すると
機嫌を損ねるのはなぜだろう
四
矛盾を孕んだ叱責を
さも当然のように
まさか趣味のように
やはり快感のように
小石を拾った少年のように瞳を輝かせ
矛盾などないように
矛盾を受けつけない
矛盾だらけのヒステリック上司が
今朝も喚き散らしている
矛盾を論破したら
紅潮して怒り出すのは目に見えている
彼等の動悸がわからない
彼等を解剖してスケッチしたら
わかってくるのか……
脳のレントゲン写真
覘いたら見えてくるのか……
憎き彼等に幸あれ
私の明日から消えろ
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