第9ニャ【初恋は儚くニャ】
ぬ子の言葉を二つ返事で返した人間。この余裕面がムカつく……だけど、ここで引く訳にはいかニャい、
「お、お前っ、ぬ、ぬ子の
「む? 何の責任だ? まぁ、痛かったなら謝る。すまん! これでいいか?」
「ぬ、ぬ子のバージンが……ぬ子の初恋がぁ〜」
『え? お主、今ので恋してたの? チョロい奴じゃな〜』
猫神様が
その後、とてつもニャい気まずさの
まず、猫神様とぬ子が人間を召喚したこと
それは第二回十二支レースのパートニャーとして同行させる為ってこと
召喚された者は契約に縛られていて、条件を満たすまで元の世界に帰れニャいこと
コタツにはミカンということ——
——猫には小判ということ
ひとまず、こんニャ感じで話したニャ
初手でフラれたぬ子は
そんニャぬ子の気持ちも知らず、美味そうにミカンを食べる人間の顔を時折睨みニャがら威嚇してやるんだもん、このえっちニャ雄め
「あまり睨むな。猫と一緒にコタツを囲むだけでも精一杯なのだ我は
だがしかし、契約とやらで縛られているのなら条件を満たす他帰る手段はないようだな。なら、その十二支レース、出るしかあるまい」
『お主の適応力は常人を逸しておるな……聞いた事あるぞ、お主、厨二病とかいう人間の亜種じゃろ』
「ふっ、猫神よ。それは褒め言葉として受け止めよう。で、そこの仔猫よ!」
「仔猫じゃニャい! ぬ子ニャ!」
「そうか、ぬ子だな。自己紹介がまだだったな。
我の名は、
そう言って前髪をかき上げるような仕草を見せ、眼鏡とかいう変な魔道具から覗く鋭い眼で緩やかな山を描いたニャ
コイツ、笑うと可愛いニャ……っ、はっ!? ぬ子は
み、認めニャい! こんなえっちな奴、嫌い!
「あめみやす、ばり……」
「切る場所が斬新だな。そうだな、面倒なら、すばりでいいぞ」
「すばり……」
「ん、何だ?」
「
「くっくっく……ぬ子よ。我を甘く見てもらっては困る。何故なら、我の手にはこのスマホがある。十二支レースだか何だか知らんが、これでナビればどの種族よりも早くゴール出来るだろう!」
おぉ! そ、それは、すまぅとぽん!!
『すばりよ、でもここじゃお主のすまぅとぽんは圏外じゃろ』
「圏外っ、だとぉっ!? ……まさか、スマホが我の環境適応力について来れなかったと言うのか!?」
『これが俗に言う、残念イケメンって奴じゃな』
すばりは眼鏡をくいっと指で押し上げニャがら、俯いたと思うと、次は肩を震わせて啜り笑い始めたニャ。ぬ子が首を傾げると、
「ふはははっ、ふふ、ふはははははっ! 面白い……そうでなくてはなぁ!」
だ、大丈夫かニャ
ぬ子、コイツと上手くやれるのかニャ?
ぬ子が心配で顔を歪めたのを見たすばりは、手に取ったミカンの皮を器用に剥いてくニャ
すばりの肉球さばきも凄いニャ。と、そんニャ思考を巡らせニャがら見つめていると、すばりは剥いたミカンをぬ子に半分くれたニャ
「え、いいのかニャ?」
「あぁ、十二支レース、出るからには必ず勝とう。これは我からの餞別だ、受け取ってくれ」
『いやそれ儂のミカン』
ぬ子はすばりのミカンを受け取ったニャ
その時、少しだけ指先が触れたニャ。すばりは額に汗を浮かべて、また不器用な笑みを浮かべた
そう、お婆ちゃん言ってたニャ。食べ物をくれる奴に悪い奴はいニャいと
「すばりは、いい奴ニャ!!」
『お主チョロイン過ぎな』
こうして契約を結んだぬ子とすばり。
レース当日まで、あと、一ヶ月ニャ! ぱくぱく、ミカン美味しいニャ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます