3/10 読書記録でも。
創作の方は相変わらずはかどらず、実生活上でも特に書くことが無いという日々をすごしているうちに三月も十日をすぎていた。嘘だと思いたい。
書くことが無いくせに書きたい欲だけはあるので、読書メモでもここに残しておくことにしておく。
・百合文芸コンテスト一次通過作
勉強や敵情視察も兼ねて、百合文芸コンテストの一次通過作をちょっとずつ読んでいる。なぜにちょっとずつなのかというと、力作を一気に読むと「こんなすごい作品に自作が太刀打ちできるわけないじゃないか……」と凹むからである。ギリギリまで夢は見ていたい。
ここ数日読んでいたものの中で、女子高生が互いを意識しあって……という女の子どうしのラブコメというかガールズコメディ調のものが続いた。たまたまそうなっただけなのだけど、こういった王道をきちんとかける人は強いなと改めて思う。百合書きのくせに私はこのジャンルを苦手とするのでうらやましさすら感じてしまった。
学園ラブコメといえは少女向け少年向け、漫画や小説問わずティーン向けエンターテインメントの花形だとおもうけど、適正がここに向いている人はやっぱり強い。花形なだけあって激戦区でもあるだろうけれど、その分需要も大きいだろうからなぁ。だから、学園モノでレベルの高いものが書ける人は本当に強いよ。正拳突きで勝ち進んできた人みたいな、全方位に対応できるようなストロングさがあるよ……(知識もないくせに格闘技に喩えようとして失敗した)(小細工しなくても勝てる人、みたいなことを言いたかった模様)。
と、つい現代ファンタジー要素を入れたお話を作りたくなる者としてはついつい仰ぎ見てしまったのだった。
と同時にガールズコメディーがきちんとかける人になりたい気持ちも芽生えたのだった。やっぱり基本を押さえときたい。
しかし、自分が高校生だったときがはるか昔なので、令和の女子高生を書くのは勇気いるな……。学園ラブコメから加齢臭が漂うのは致命的だしな。
・ファッションフード
ここ最近は畑中三応子『ファッションフード、あります はやりの食べ物クロニクル』を読んでいた。正確にいうと以前単行本版でよんだものを文庫版で再読した形になる。
ファッションフードというのは著者の作った造語で、バブル期のティラミスのように「ファッションとして消費されるようになった流行の、特に外来の食べ物」を指すらしい。去年はやったタピオカなんかも典型的なそれでしょうね。
本書はそういった、流行ったり廃れたりなファッションフードを通じて当時の世相を省みるような年代記なんだけど、それがなんだかやたらと楽しい。なにがそんなに楽しいのか、過去の風俗文化に対する好奇心に刺激されるのか、適度に引用される過去の雑誌からの文章のユニークさがツボにハマるのか(とくにアンノン族を生み出した頃の女性誌のキャプションが大げさでイイ)、単に食べ物や雑誌などの食べ物メディアの名前がたくさん出てくるところに図鑑を読むような快さを感じるのか、なにがなんだかわからないけれど無性に楽しい一冊である。
特に万博からバブル期までの、食べ物が単に「美味しくて栄養があるもの」ではなく、情報や物語などの付加価値が重要視されだした70~80年代のことが面白い。バブル期の景気の良さなんてほとんど冗談みたいなので、経済的にどえらいことになっている今読むと無性に笑えてきたりする。
風俗史や、単に食べ物のことが好きな人にはお勧めいたします。
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