59.人気屋台のつくりかた 一
今朝も当たり前のように、千佳は朝飯を作りにやってきた。『ゲンジさんと会うから、そのついでに二人を迎えに行ってくる』と言って家を出てきたが、電車の到着時間を過ぎてもなかなか戻らなかった俺達を心配してだろう、途中まで千佳が歩いてきてた。
なにか聞かれると思ったが、ぐったりしている須藤を見て勝手に納得したらしく……。話し合いの前に小休止と相成った。俺はその間にシャワーを浴びることが出来て、シャキッとした頭になれてちょうどよかった。
「それではあらためて、始めたいと思います」
進行は小湊さんだ。
回復した須藤はもとより、ノートが広げられた座卓を全員で囲い話し合う。
「まず、できるできないはおいといて、なんでもいいのでやりたい屋台をあげてください。はい、須藤」
「お、俺から? ま、いいけどよ。えーっと、俺は食べ物系ってよりはやっぱ遊べる屋台が
「射的にダーツ、輪投げ、っと。はい相楽さん」
小湊さんは手元のノートにメモしつつ、時計回りに千佳に振る。
「私は……これがしたいってものはないですけれど、金魚すくいとかひよこはちょっと無理です。生き物はなにがあるか分かりませんし、売れ残ったときが怖いので。それ以外でしたらとくにないです」
まぁ俺も生き物は難しい気がする。というかそういうのってどこで仕入れるんだ? いや、やらないけれど。
「私も生き物はやりたくないかなぁ。そんじゃ生き物はNGで。はい、篠森」
「……俺は食べ物かな。焼きそば焼き鳥綿菓子に、それこそなんでもいいけどさ」
「遊び系は?」
「ハズレばっかでロクな景品当てたためしがないんだよ」
いいとこ野球バットの形をしたバルーンくらいなもんだ。
「あー、そういうことね」
スーパーで麦わら帽子があたったのは完全にまぐれだし、それ全般向いてないんだろう。その麦わら帽子は今も壁に立てかけてあり……、ダメだ、話し合いに集中だ。
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