3 そろそろ自己紹介でもしようか
「ところでお名前とか聞いてもいいですか?」
部屋を出てさっき必死に走ってきた道を歩きながら、隣を歩くヒーローさんにそんな事を問いかける。
名前も知らないままじゃ話しにくいしね。
「名前……ああ、そういえば自己紹介がまだだったな。俺はルイン。お前は?」
「山本楓、16才です」
「へぇ、俺と同いど……同い年!?」
なんか凄い驚かれてる。
多分アレだね。絶対に失礼な事思われてるね。
「12,3才とかじゃなくて? えぇ……?」
「16才だよ!?」
絶対勘違いされてそうだから年齢自己申告したけどやっぱりだよ! なんか今でも半信半疑っぽいよ!
「……本当かよ。うっそだー」
「本当ですよ! ……って違う! 本当だよ! あーもう! こんな所まで来て私また子供扱いだーッ!」
「ああ、やっぱり元の世界でもこんな扱い? まあ身長140切ってる奴が16才って言っても、初見じゃ絶対分かんねえよな」
「切ってないし! 142センチはあるもん! ばーかばーか! えーっと、ばーか!」
「いや、だとしても依然ちっちぇえけどな……あと語彙力幼ねぇ。っていうか急に当たり強くなったなオイ。キャラ変わってね? さっきまでの敬語敬語したしゃべり方どこ行った?」
「あ、いや、私の持論なんだけどね、同い年に敬語言ったり言われたりするのなんか嫌じゃない? 時と場合によるけど。で、薄々気付いてたけど同い年だって確認できたし、しゃべり方チェンジだよ」
「成程。まあ……一理あるか。いや、でも今の俺の立ち位置ってヤツと場合による時じゃね?」
「……うむむ、確かに」
確かに間違いなく命の恩人な訳で、これ完全にそんな感じだよね
「いや、まあいいんだけど別に。気にしてねえし」
「ならいいや」
堅苦しい敬語からの脱却! できてたかは知らないけど!
「という訳でキミはルインさんじゃなくてルイン君。私はちっちゃくない。OK?」
「はいはいOK。おっきいおっきい」
「ふふん……って馬鹿にしてないかな!?」
「してるよ」
「してた!?」
「冗談だ」
「どっちだよ」
わかんないよ!
「まあこんな不毛な話はもういいだろ。それしてこの先お前の身長が伸びる訳じゃねえし」
「いやこの先には伸びるよ! 160位までは伸ばすよ!?」
「え、いや……その、なんだ。そりゃ無理だろ。高望みしすぎじゃないか?」
「あ、うん。まあ……確かに」
うん、言ってて私も流石に高望みしすぎだとは思ったよ。
まあ精々が155位だよね。うんうん。
……まぁさかこのまま止まったりしないよね。なんか心配になってきた!
「で、まあマジでこの話は一旦止めよう。そんな話よりダンジョンを歩く時に最低限必要な常識だけは伝えとかねえと」
「ほうほう」
でもそれもうちょっと早くにした方が良かったんじゃないかな? もう大分歩いてるよ?
「まあ基礎中の基礎なんだけどよ。偶に色が微妙に違う床があるんだ。それ踏むとカチって音がしてトラップが発動するからマジで気を付けろよ」
「無茶苦茶大事なはな――」
カチッ。
「……こういうの?」
「そう、そうのオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!?」
「わ、私の足元ォォォォォォォォォォッ!?」
次の瞬間、足元から眩い光が放たれる。
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