ヴェリティ語の等位文がバカみたいに複雑な件

 ヴェリティ語にはコピュラがないため、名詞を二つ並べるとそれだけで等位文を作ることができる。

 日本語や英語と違い、「XはYだ」という文を作ろうとすると、Y+Xという語順になる。この時、述語のYのみ冠詞が落とされる。


 ●無生名詞


 Bal ki-nam これは船だ。(単数)

 Ballë katë-nam これらは船だ。(複数)


 ●有生名詞


 Kayvaw di-ra. 男は漁師だ。(単数)

 Kayvavëm dëm-ra 男たちは漁師だ。(複数)


 指示代名詞にも冠詞がつく。


 Ra di-nam. この人は男だ。

 Ara dëm-nam この人たちは男だ。


 しかし、e/she(不定冠詞の単数形のような働きを持つ)を使うと日本語や英語と同じ語順にできる。前に来る名詞が子音で終わる単語の場合e、母音で終わる単語の場合はsheになる。


 Ki-nam e bal. これは船だ。 

 Di-ra she kayvaw. 男は漁師だ。


 さらに主語や主題を示す接辞-shu/-shi(日本語の「は」に似たもの)を名詞の後ろにつけることによっても主語を前置することができる。前に来る名詞の最後の母音がa/u/o/ëの場合-shu、i/eの場合-shiになる。

 

 Dëm-ra(-shu) kayvavëm. 男たちは漁師だ。

 Ki-len(-shi) kanna. あれが食べ物だ。


 Adu she kaymavun 私は兵士だ。

 Alifa(-shu) kaymavun-ëm. 私たち(包括的、聴き手を含む)は兵士たちだ。

 Nyudu(-shu) nya yaridi-azhi? あなたは魔術師ですか?(中二病全開)


(元々主語を前置するのは強調形で、主語を後置する形の方が通常形だった。しかし現代ヴェリティ語ではSVO語順が一般的になったために違いが消失して、どちらの語順でもほとんど同じような意味で使われる)


 述語が固有名詞である場合は、述語の名詞に人名を表す固有名詞につく冠詞がつく。


 Di-nam tsay Zhuzhu. この人はジュジュ(人名)だ。

 Adu tsay Chahaya. 私はチャハヤ(人名)だ。


 疑問代名詞は基本的に文頭に来るが、この時も主語の部分の冠詞は省略される。


 Tsayana nyudu? あなたは誰ですか?

 Adu tsay Nakahara. 私は中原です。


 しかし、述語にくるものが普通名詞の場合、冠詞は残る。


 Tsayana di-kayvaw? 誰が漁師ですか?

 Nulu-shu di-kayvaw. 彼が漁師です。


 Nyal ki-gurlart? どれが槍ですか?

 Ki-nam-shu ki-gurlart. Ki-yan e vatay. これが槍です。それは(木の)棒です。


 なお、動詞を使った文では人称代名詞・どれ、どこ以外の疑問代名詞には常に冠詞がつく。

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