ひきこもごも
どうせ地上じゃ、また私がどこ行ったのか探しているんだろうなぁ。全く、放っておいてくれたらいいのに。心底、鬱陶しいなと思う。光があまり届かない湖の底で、あたしは独り、座っている。はぁ、とため息が出ると、泡が上に昇っていく。いけない、居場所がわかってしまう。いや、どうせ時間の問題なんだ。私の逃げ場所と言えば、海か川か、湖と決まっているから。人の気持ちがわからない人と一緒にいるよりも、私を優しく包む水の中で独りでいたい。いつもそうだってわけじゃないけれど、沈んでいる方が心地いい。遠くで、ジャボン、と音が聞こえる。水中の音は、よく聞こえてくる。アレは……私が一番会いたくないヤツだ。ウィンディ、風の申し子。あっという間に私の前にやってくる。瞬間、私の周りの水は空気に押しやられ、私とウィンディだけになる。風が私の髪も体も乾かしていく。そんな無遠慮に、私に触れてくるんじゃないよ。
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