第238話
「なんの話…!? ……だ?」
僕は自分の声で目が覚めた。辺りを見ると、どうやら飛空艇の船室に運ばれていたようだった。
……さっきの夢…じゃないよな…。いや、夢といえば夢か…。ややこしいな…。
「…ん? …水? …いや、汗か……」
僕はビショビショに濡れていた手の平をじっと見たあと、ベッドから起き上がった。
「痛てて…。寝てる時に頭打ったみたいだな…。…ステータス? …あれ?」
…そっか……。そういえば、しばらく連絡取れないとかいってたな…。
僕は少し気になっていたことがあった。そう…。ハティスコールだ。もうすでに二人も倒しているのに、ぃのところなんの異変もない。どういうことなのだろうか?
「はぁ…。嫌な予感しかしないな…。…あれ?」
僕はふと右手を見ると鎖の亀裂が広がってるような気がした。
「あとで、シャルに見てもらうか…。…なっ、なんだ!?」
急に轟くような音がなり、船がガタガタと揺れだした。僕は急いで立ち上がり操縦席に向かうと、シャルとアリスが駆け寄ってきた。
「…みんな!?」
「アッ、アル、目覚めたんだね! 無事でよかった…。急に倒れから心配したんだよ! アルまでいなくなったら、私…」
シャルは僕の服を掴見ながら下を向いた。僕は頭を優しくなでた。
「ごめん…。もう、大丈夫だから…。それよりもさっきの音は…」
「数分前から攻撃を受けてるの…。妙な雷雲が現れたと思ったら、急に…」
アリスは窓の外を見ながら、不安そうにしていた。
「…雷雲?」
一体、なにが起きてるんだ…。
「まずい…。…みんな、捕まれ!」
シオンさんが叫ぶと同時に眩く光り、けたたましい音が船を再び揺らした。
「きゃああ!」
「うゎああ!」
「にゃああ!」
「うっ…。なんてすごい雷だ…。…一休、ここは?」
「ここはドワーフの国の近くだ…。反応が一番凄い…。というか、今はここしか反応がない…」
「それってどういう…。…なっ、なんだ、モンスター!?」
黒い雲を過ぎ去り下を見ると、あのときのようにドワーフの王国を巨大なゾンビモンスターが暴れまわっていた。そして、あの場所…。あれが眠っていた場所から、雷が空へ向かって絶えず放散されていた。
「あの中に四天王のキメラがいる…。あいつが…」
「エリック、無事だったのか!?」
…でも、ひどいケガだな。
「まっ、なんとかな…。助けてもらったんだ…」
エリックの方を見ると、焼け焦げていた。相当な戦いをしたのだろう。
「そっか…。今、回復してやるからな…。…ん? どうしたんだ? みんな、変な顔して…」
「どうして、エリックがここにいるんだにゃ!?」
「…みんなが助けたんじゃないのか?」
「……」
誰も返事をしない…。…まさか偽物!?
僕は剣の柄を握ると、目の前の人物は手を前に出して激しく振りながら慌てていた。
「…おっ、おい、剣をぬくなって! 本人だよ!」
「…どうやって、船内に入った?」
「…わからん」
「…誰に助けてもらったんだ?」
「…わからん」
「…今、ドワーフの国はどうなってる?」
「…わからん」
「…そうか……」
「…だから、剣をぬこうとするなって! 頼むから回復してくれよ…。リカバリーなら本人かどうかわかるんだろ?」
確かにリカバリーなら本人かどうかが、わかるかもしれない…。
「…妙な真似をしたら…」
「しっ、しねえって!」
僕は警戒しながらリカバリーをかけたが、確かにエリックのような感じはした。
「…うーん……。なんともいえないな…」
「わかった…。そんなに疑うんなら、秘密の部屋の話をするか…」
「……わかった。信じよう」
「…わかってくれてなによりだ」
「…ねえねえ、秘密の部屋ってなに?」
アリスは妙な顔をしながら僕の方を見てきた。僕は苦笑いをして誤魔化した。
「はははっ…。…それをいったら秘密じゃなくなるだろ?」
「…スケベ案件ね」
「…ちっ、ちがう! あれは純粋にゲームキャラクターの…!。…ごほんっ! そっ、そんなことよりもだ…。あの中にキメラがいるってどういうことだ」
「さっきまで俺はあの中にいた。暴走したやつを追ってな…」
「暴走って…」
「あいつは暴走を止める手段があるとかいってた…。…早く止めないと、とんでもないことになるかもしれねぇ。でも、俺一人じゃあ…。はぁ…。もうダメだ…」
エリックは窓ガラスを触りながら、ため息をついた。
「大丈夫だって、エリック! その為に俺がきたんだろ!」
僕はそんなエリックの背中をバンっと叩くと、エリックはこちらをチラッと振り向き再びため息をついた。
「はぁ…。入れねえんだよ…」
「…入れないってなにが?」
「あの中にだよ! 多分、俺しか入れねえんだよ…」
「どっ、どういうことだよ」
「…右手をだしてくれ」
「…右手?」
僕は右手をだすと、エリックはなぜか握手をしてきた。そして、そこそこの電流が手から足に向かって流れた。
「…まだいけるか?」
「…え? …ああ……」
エリックは出力を上げたようで、僕はその電撃に膝をついた。
「…痛って……。…なっ、なにがしたいんだよ!」
「あの穴の中はこの数倍の電撃が流れてる…。きっと、俺しか動けねぇんだ…」
「なにっ!? いでてて…」
「おっと、悪い…。ミスった…。、離すぞ…」
「はぁ…はぁ…」
死ぬかと思った…。ラタトスクの電撃以上だ…。神様の装備が役に立ってないぞ…。それともこれでも効果あるのか?。
「…わかったろ? みんなはあのゾンビモンスターを頼む…。俺一人で無理だけど、なんとかしてくるしかない…」
「…エリック! 待ってくれ…。…もう一度だ」
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