第154話
「どっ、どういう事?」
「それがわからないから戻れないんです!」
戻れないってことは…まさか!?
「…神様、もし俺が死んだらどうなるの?」
「それは…」
僕は神様の肩を押さえて目を見つめると神様はスッーと目をそらした。
「おっ、おい! 目をそらすんじゃない!」
「そのー…。どうなるんでしょうかね?」
「それを聞きたいんだよ!」
神様は自分の顔をポンポンと両手で叩くと開き直った感じで答えた。
「さっ、さて、これからどこにいきます?」
「まあ、リアヌスってやつに会いにいこうと思ってるんだけど…。…とりあえず、更にやばくなったのは伝わったよ」
「すっ、すいません。でっ、ですが、私はかなり強いですよ! 戦力的には相当なプラスです!」
…こういうキャラって、ゲームだとそれを差し引くぐらい使えないんだよな…。
「神様、少し離れて歩こうか…。先に歩いていいよ」
「…まっ、まさか!? わっ、私を見捨てる気ですか!? こっ、この人でなし! わっ、私だって心細いんですよぉお! お願いですから、見捨てないで下さぃい!」
神様は泣きだして僕に抱きつき服に顔を擦りつけてきた。
…きっ、汚い。
「じょ、冗談だって…。でも、神様って結構な年取ってよっぽど僕より…。…ぐはっ!」
…こっ、こいつ、殴りやがった!
「すいません。自分の泣き声でなにも聞こえませんでした。…なにかいいました?」
これ以上、変な事を言うのはやめておこう…。
「…なっ、なにもいってないです。とりあえず辺りを探索してみよう」
「そうですね!」
神様が僕の背中を掴むとフワフワと浮かびだし空高く浮かんだ。
「すっ、すごいな…」
「こういう事もできるんです。ですから、絶対に私を見捨てちゃだめですよ。見捨てたら泣いちゃいますからね」
「あっ、あれは、ちょっと様子をみようとしただけだって…」
「まあ、そういう事にしておきましょう。…さて、どっちにいきます?」
「そうだな…。とりあえず、この辺をグルグル周ってみよう」
僕達は周辺を探索する事にした。辺りにあるのは岩とマグマばかりでとても生物の住めるようなところではなかった。この辺りは、どうやら街からかなり外れた場所のようだった。
「どこにもないな…」
「みたいですね…」
「そういえば、神様…。話は変わるんだけど、装備品を強化するアイデアはどうかな?」
「うーん…。どうなんでしょうか? そもそも、今のあなたが装備品の効果を受け取っているのかも怪しくなってきました。試しにやってみます?」
「…一応、やってみて?」
「では…」
僕の体につけた装備品は金色に輝き出したが、特段強くなったような気もしなかった。
「うーん…。なにも変わってない気がするな…」
「そうですか…」
「神様、そろそろ元の場所に戻ってみよう…。もしかしたらリアヌスがきてるかもしれない」
「うーん…。そうですね…」
僕は元の場所に戻ると、バックからコーラを取り出して魔法をかけたあと神様に手渡した。
「…はいっ、喉乾いただろ?」
「いえ、私はそういう機能はついていないんです」
「そうか…。じゃあ…」
僕は神様の手からコーラの入った瓶を取ろうとすると、必死に摑んで離さなかった。…というか、理不尽に怒ってきた。
「でっ、ですがぁ! 飲めるのは飲めます! せっ、せっかく頂いたものですからね…。…ですから、さっさと早く手を離してください!」
飲みたいのか飲みたくたいのかよくわからないやつだな…。
僕は手を離すと自分の瓶の蓋を外しコーラを飲んだ。
「うまい…」
サウナに入ったあとのコーラみたいだな…。
「こっ、これはおいしいですね…。もう一本飲みたいです」
「あんまり飲むとトイレにいきたくなるからやめたほうがいい」
「でっ、ですから、私にそんな機能はついていないんです! …あれ? 向こうから誰か歩いてきてますね?」
僕が神様の指差す方を見ると、そこにはリアヌスらしき人物がキョロキョロと辺りを見渡していた。
「むかえにきてくれたみたいだ。神様、いこう!」
僕は神様の小さな手を握り引っ張った。しかし、神様は抵抗して何故かその場所から一歩も動かなかった。
「まっ、待ってください! あの男から妙な気配を感じます…」
「…妙な気配って?」
「…あなたというか、黒騎士に少し似ています…。…近づいて大丈夫なんですか?」
「……」
妙な気配か…。もしかして、黒騎士に似てるってことは精霊なのか?
「あのー…」
「……」
そういえば、最近力を手に入れたとかいってたな…。…ってことは、あの赤いオーラから考えると火の精霊か? …でも、そうだとしたらすごい戦力だ。
「もしもしー…」
「……」
…ん? …ってことは、あと風と氷でコンプリートなのか? 大抵こういうものは全部集めないといけないはずだけど…。…ゲームのやりすぎか?
「聞いてますかー…」
「……」
でも、精霊かー…。昔は格好いい精霊から、可愛い精霊までたくさん集めまくってたなー。
「いい加減話を聞いてください!」
神様は僕の耳元に手をあてて叫ぶと、怒って頬を少し膨らませていた。僕は神様のあまりの声の大きさに耳が一瞬キーンとなった。
「うっ、うるさっ! 耳元で大きな声出すなよ!」
「あなたが私の話を聞かないからです!」
「ごめん、ごめん…。ちょっと考え事してたんだよ…。そういえばさ、黒騎士で思い出したんだけど、黒騎士に襲われたときなんでわかったんだ? それにさっきもピンポイントにでてきたし、やっぱり神様見てたんじゃ…」
「そっ、そんな事はいいですから、あれをみてください!」
「…あれ?」
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