第60話

まず敵の数を聞いてみたが、どうやらそのキノコみたいなモンスターは相当いるらしい。しかも増殖型の厄介な相手で、こうしている今もどんどん増殖しているみたいだ。

そして、増殖を防ぐには火の魔法を使用するのが有効的みたいだが、モンスターの動きを止めた状態で使わなければ山火事になる恐れがあり本当に厄介な相手らしい。

まあ、敵の正体や状況は大体わかったが、やはり敵の攻略法もその道のプロに聞くのが早いだろう。

「…シオンさん過去にこういった増殖型のモンスターを倒したことはないんですか?」

 シオンさんはしばらく目を閉じて後に答えた。

「一回だけある。その時、私が倒したのは増殖型のスライムだった。本当にきりがなかった」

 僕は続けて質問した。

「そのときはどうやって倒したんですか?」

「ああ…。その時はしばらく戦っていくと一体だけとてつもなく強いスライムがいたんだ。なんとか倒した後に周りを見ると増殖していた全てのスライムが消えたんだ。恐らくそれが本体だったんだろう」

「なるほど…」

 やはりそういう感じか…。

「ただ、その時は限られた場所の中でそこまで増殖していなかったから倒せたが今回は違う。この広い山の中で相当数のキノコのモンスターの中から本体を探すのは容易ではないだろう」

「……」

 確かにその通りかもしれない。…でも、それなら僕のゲーム予想とスキルが使えるかもしれない。考えられるルートと攻略法はそれぞれ三つある。

その一、本体が黒い魔物である。この場合だと見つけやすいので探してデスマッチを発動して倒す。

そのニ、キノコのモンスターの中に一体だけ本体がいる。この場合は見つけるのが厄介だ。だけど、僕にはプレイデッドがある。それでモンスターのステータスを確認して、キノコの本体を倒す。

その三、全て本体…。これが一番厄介だろう…。もしこうだったら全て倒すしかない。まあ、まずは…。

「…王様、すいません。船酔いして気分が悪いので少し休みたいんですが、どこか部屋を貸してくれませんか?」

 僕は体調が悪そうな演技をするとアリスは不思議そうな顔をして近づいてきた。

「そうだったの? あんなに船の上で子供みたいに、はしゃいで走り回ってたじゃない?」

「……」

 僕は目を見開いてアリスを見た。アリスはキョトンとしていた。

 全くこいつは…敵なのか…。まあ、初めての船旅で想像以上に楽しくて、はしゃぎすぎてしまった僕も悪いんだが…。

 なんて事を思っていると勘のいいシオンさんがフォローしてくれた。

「まあ、しばらくしてから悪くなることもあるさ。話は私達で聞いておくから部屋で休んでなよ」

「シオンさん、助かるよ。…王様、そういう事なので部屋を貸してもらえませんか?」

「よし、わかった。部屋に案内させよう」

 王様が大臣に声をかけると大臣が部屋からでて行き、後から一人のメイドが部屋に入り僕の方にきて一礼した。どうやら、部屋まで案内するということだったので、僕は可愛らしいメイドの後について行き部屋についた。


「なにか御用がありましたら、お呼びください」

「ああ、ありがとう」

 部屋の中には貴賓室と同じく僕のサイズにちょうどいいベッドやソファーが設置してあった。メイドが帰ったのを確認して僕は部屋の鍵を閉めた後にベッドに寝ころんだ。

「なかなかいい感じのベッドだ…」

 …さてまずはキノコの中から本体っぽいやつを倒そう。

 なぜ、黒い魔物を先に倒さないのかというとかつてやったゲームにこんなのがある。本来ならBという敵を倒した後にAを倒さないといけないのに先にBを倒してしまった事でAが凶暴化してしまいパーティーが全滅してしまったのだ。

今回、暴走して困るのは複数いるキノコの方だろう。まあ、Aを倒してもBを倒さなければ何度でも復活するというゲームもあったが…。

「まあ、幽霊化する前に一応確認しとくか…」

 僕はステータス画面を開きマリシアウルネクストを確認した。マリシアウルネクストはゆっくりと点滅していた。まだ、そこまでの悪意は迫ってないのかも知れない。

「さて、確認も終わったし…プレイデッドを発動っと…」

 僕はプレイデッドを発動した。幽霊化した僕はゆっくりと起き上がり、まず周りを見渡した。どうやら僕以外はいないようなのでとりあえず一安心した。

一応、プレイデッドのタイマーは次回解除までにしてある。ただ、一つ疑問なのがそもそもタイマーの意味があるのかということだ。

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