第81話 鶏肉とモリーユのクリーム煮

 クォーレル商会の長であるエヴァンは目の前にいる十歳の少女――レヒーナと会うのは今日が初めてであった。

 昨日、干しキノコの扱いについて朝めし屋に相談に来た際、銀莵亭であれば食材として扱うことができることを聞いて、是非にも紹介して欲しいと頼んだのだが、実際に料理を作ってもらう今日になって銀莵亭に迎えに行ってみると、その厨房を実質的に取り仕切っているのがこの小さな少女だったのである。


 そして、いまは朝めし屋の四人席に座って相対している。


 もちろん、エヴァンが銀莵亭まで迎えに行ったのだから、朝めし屋にやってくるまでにかかる時間でレヒーナから色々と話は聞いている。


 宿の場所が商業ギルドの前ということもあって商人の利用が多いにも関わらず、特に朝食を食べてくれる客が少なかったこと。

 父親のジェリーが作る料理はどちらかというと肉を大きく切って焼いて出すといった粗野な料理だったため、傭兵のような力仕事を得意とする人には喜ばれるが、宿泊客である商人には人気がないことが原因だったこと。

 自家製パンは毎日焼くことができる窯があるので、そのパンを使った料理を出せるようにクリスがシュウに相談してパンシチューを名物にする案をだしてくれたこと。

 シチューに必要な牛乳やバターなども、クリスが中心になってグーリンス牧場に話をつけてくれたこと。

 そして、シュウに宿にまで来てもらって料理の仕方を教わったこと……。

 それで宿も繁盛するようになったが、一番うれしいのはこの店のシャルと友だちになれたことだということまで話してくれた。


 このマルゲリットには九軒の宿屋があり、天馬亭が最も部屋数が多く、料理も上質なものを出すと評判が高い。その他の宿屋もそれぞれに特徴のある料理などを出して日々切磋琢磨していると言えるのだが、エヴァンにはクリスがそこまでして銀莵亭を支援している理由がわからなかった。


 そこにシャルが丸盆に乗せてお茶とおしぼりを持ってきた。


「いらっしゃいなの」


 先ずはお茶を二人の前に出すと、おしぼりを広げてエヴァン、レヒーナの順に手渡す。


「シャルちゃん、元気にしてた?」

「うん、元気なの。レヒーナちゃんは……忙しかった?」

「もうねぇ、毎日大変だったよー。休む間もないんだもん」


 会話を始める二人を見て、エヴァンはあることに気がつく。

 エヴァンが初めてこの店に来たときにはシャルはいなかったのだ。だが、マルコが特別に依頼した干し貝柱のごはんを食べるときにはシャルはいた。確かそのときは、クリスがシャルの両親のことについてマルコに尋ねていたのだが、特に気にすることもなかったのだ。

 だが、何か訳があってシャルのことをこの店で預かっているのだろうとエヴァンは推測した。


「ふたりは仲良しなのかい?」


 エヴァンは目の前に座っているレヒーナに向かって尋ねた。


「うん、大好きなおともだちだよ」

「シャルもレヒーナちゃん、大好きなの」


 この街では十歳といえば小さな大人として扱われ、見習い仕事を始めるのが一般的だ。

 とはいえ、それは大人からの扱いであって、子どもたちはそんな意識を持って互いのことを見ていない。その証拠に目の前にいる二人の会話は大人がするような会話ではなく、子どもの会話そのものだ。

 だが、その会話の様子はエヴァンから見るととても微笑ましく、これから干しキノコの料理を試すというのにも関わらず、緊張感を解してくれるものになった。


「ねぇ、シャルちゃん。こっちの片付けをお願い」


 カウンター席の方からクリスの声が聞こえる。干しキノコの商人たちが団体で入ってきていたので、まとめて座席が空いたのだろう。これは片付けがたいへんだ。


「はーい」


 シャルはクリスのいるカウンターの方に向かって返事をすると、レヒーナに向かって「またあとでなの」と声を掛けてから、小走りでカウンター席の方に向かっていった。


「この収穫祭の間は一度も遊べなかったから寂しかっただろう?」


 仲の良い二人を見て癒やされたエヴァンはレヒーナに尋ねる。

 宿屋という商売は収穫祭の間だけ忙しいという商売ではない。準備にやってくる期間と片付けをする期間などを考えると前後も入れて三週間は働き詰めである。


「うーん、忙しくてそれどころじゃなかったかな?」


 クリスやシャルのような美しさや可愛らしさはないが、短く切られた髪が活発的な印象を与える笑顔はとても可愛らしい。


「そっか、早く休めるといいね」

「うん、シャルちゃんといっぱい遊びたいなって……それがわたしのご褒美なんだぁ」


 ほとんど人見知りをせず、物怖じもしない。活発で周囲に元気を振りまくような雰囲気を持つ不思議な少女だ。

 そういえば、エヴァンとパメラの二人もこの収穫祭が終われば、故郷に向かう。久々に故郷に帰って英気を養うことにしているのだ。


「おじさんも、収穫祭が終われば故郷のタリーファという海辺の街に行くんだ。楽しみだよ」

「それがおじさんのご褒美なんだね!」


 レヒーナがまた屈託のない笑顔を見せると、エヴァンも「ああ」と言って頬を緩めた。







「キノコ料理、おまたせしました!」


 厨房に繋がる通路からクリスが丸盆を持って四人席の前に現れた。

 丸盆をことりとテーブルの上に置くと、先ずは料理の説明をはじめる。


「これは、『ジロール茸』の『トルティーヤスペイン風オムレツ』ね。そしてこっちは『ポルチーニ茸』の『リゾット』です。『モリーユ』の料理はもう少し後でシュウさんが持ってきますね」


 丸盆の上にある皿の一つは、両面をフライパンでじっくりと焼いて固めたスペイン風オムレツで、六等分されて皿に盛り付けられており、その中央にはガーリックマヨネーズソースがぽってりと載せられている。

 そして、もう一つの皿はこの店では珍しい長粒種の米を使ったリゾットだ。ポルチーニ茸の戻し汁を使って煮込まれているため全体に茶色系に染まっているのだが、仕上げに使ったチーズの香りが湯気とともに立ちのぼっている。


「この『トルティーヤ』に掛かっているソースはなんだい?」


 はじめて見るソースにエヴァンとレヒーナも興味津々である。


「これは、『鶏卵』の卵黄と『オリーブオイル』、『ワインビネガー』、『ニンニク』を入れて混ぜ合わせて塩で味を整えたものです。この『トルティーヤ』によくあうんですよ。どうぞ食べてみてくださいね」


 クリスは小皿を配りながら説明すると、すぐにレヒーナはトルティーヤを小皿に取る。同じように、エヴァンもトルティーヤを小皿に取った。

 トルティーヤの具はジャガイモとジロール茸だけが入ったシンプルなものである。だが、その上にぽてりと載せられたガーリックマヨネーズソースからは、ニンニクの香りがふわりと漂っていて、とても食欲をそそる。


 エヴァンは四つ爪のフォークを使って表面にガーリックマヨネーズソースを広げると。中心側の頂点をフォークの峰で切り崩し、今度は上からフォークを差し込んで口へと運んでいく。

 ジロール茸のあんずに似た香りとニンニクの香りがふわりと漂うのを楽しみながら、口の中にトルティーヤを入れる。焼き上げられた卵が舌に触れる頃にはあんずのような香りとニンニクの力強い風味が鼻に抜けていく。そして歯を立てて噛むとジャガイモがほくりと崩れ、ジロール茸は繊維質な食感を伝える。そしてジロール茸がジャガイモの甘味と共にじわりと内包する旨味を舌に広げ、マヨネーズの酸味と卵の味がそれらをまとめ上げる。


「うん、うまいっ!」

「おいしいねっ!」


 ニンニクが効いたパンチのある風味は、舌にひりひりとする辛さを残すことがあるのだが、マヨネーズはその辛さを抑え、柔らかい味へと変えていた。

 これであれば十歳のレヒーナでも抵抗なく食べられる。


 一口、二口と口に運ぶと、またひとつ皿に取ってはナイフで刻んで口に運んだ。


「葡萄酒にも合う味だと思う。夜の食事に出せるんじゃないかい?」

「うん、朝よりも夜の料理って感じかなー」


 二人は食べた感想を述べながら、トルティーヤをそれぞれ二つ食べた。

 次は、ポルチーニ茸のリゾットだ。これは一人に一皿用意されていた。水に戻して刻んだポルチーニ茸を使っているので、見るからにキノコが使われていると見えるわけではないが、戻し汁と削ったチーズの色で茶色がかったクリーム色をしている。


 エヴァンはそのままフォークを差し込むと、フォークの腹に乗ったリゾットを口に入れる。

 松茸の香りを優しくしたような……でもしっかりとした香りが漂ってくる。

 口に入れるとチーズの風味とそのポルチーニ茸の香りがふわりと鼻腔を擽り、ジロール茸よりも濃厚な旨味がチーズの旨味と一緒になって舌を包む。噛んでいるとぷりぷりとした食感があって、実に噛みごたえがある。


「うん、これも美味い。香りも実に素晴らしくて、肉厚な身は噛みごたえがしっかりとあるな」

「これは『パエリア』に使うのもいいかもしれないわ。同じ『米』を使ってるし……あとは他に加える具材ね」


 料理法として地球上ではイタリアがリゾット、スペインはパエリアなどというイメージがあるかも知れないが、実際には欧州各地に牛乳で煮て砂糖で味をつけて甘くして米を食べるところもある。特に乾燥ポルチーニの戻し汁は旨味の塊のようなものなので、相性の良い食材と組み合わせればとても素晴らしい料理に発展する可能性がある。


「この『リゾット』は『チーズ』が『ポルチーニ茸』の美味しさを引き立てているような気がするね。たぶん、『チーズ』なしでは味がぼやけるんじゃないかな……」


 そこにシュウが現れた。手にはまた新しい丸盆を持っている。


「そうですね、『チーズ』や『トマト』と『肉』、それに『ポルチーニ茸』の組み合わせは美味しいと思いますよ」


 相乗効果を生む旨味の組み合わせである。

 そのような科学的なことを知らないレヒーナやエヴァンでも、舌はそれを感じているのだ。


「えっと、最後の料理ですね。『モリーユ茸』と『鶏肉』の『パンシチュー』です」


 銀莵亭でも毎日パンシチューを作り続けているレヒーナは一瞬うんざりとした顔をするのだが、目の前に置かれたパンシチューの出来に驚いて声がでない。

 パンがふんわりと焼かれていて、高さが十センチほどもあるのだ。

 銀莵亭で焼いているパンは、工夫を重ねて高さが出るように作っているのだがそれでも四センチほどで、シチューを中に入れるためにどうしても大きくなってしまっている。だがこのパンシチューではまるで大きな玉のような形をしていて、パンとシチューの量的なバランスがちょうどいいくらいに収まるように作られている。


「すごいっ! え、なんで? えええ?!」


 そのパンの厚みは、このマルゲリットに住む者として普通に食事のたびにパンを食べているエヴァンにとっても不思議でたまらない形をしていた。クォーレル家が贔屓にしているパン屋があるのだが、そこのパン屋で焼いたパンは中までしっかり焼けているものの、いつも平たいのだ。


「ああ、こうも丸く焼ける『パン』があるなんて……」


 二人はどちらからともなくパンシチューの蓋を開けると、その蓋になった部分の生地をちぎって口へ運ぶ。

 焼けたばかりの小麦粉の香りが口の中に広がる。

 パンの表面はパリッと固く焼き上げられているのだが、中の生地はふわりもちりと柔らかく適度な水分を含んでいて、噛んでいくと塩気が生地の甘さを引き立てていく。


「わぁ、すごくすっごく美味しい『パン』!」

「表面は水分が飛んでパリッと焼き上がっていても、中は適度に水分があって柔らかい……これは最も理想的な焼き加減だ。美味しい……」


 二人の感想を聞いて、シュウは嬉しそうに笑顔をつくる。


「すごいでしょ? それ、クリスが焼いたんですよ。あとで本人が来たら言ってあげてください」


 クリスが自分でつくった天然酵母だが、地球側には情報が溢れかえっているのでネットで検索したとおりにやれば比較的容易に作ることもできる。だが、そこまでのことをレヒーナやエヴァンに話す必要はなく、逆にクリスを褒めてもらうことでやる気をまた引き出すのも大切なことである。

 シュウはそのあたりをすべて理解したうえで、クリスを褒めてもらえるように二人を誘導したのだ。


「それで、中身のシチューのことですが、先ずは食べてみてもらっていいですか?」


 シュウにとってはクリスが作ったパンの話題も悪くはないのだがが、中身が冷めてしまっては作った本人として少し寂しい気がするのだ。


「ああ、そうだな。先ずは食べてみることにしようか」


 エヴァンの言葉に、無言でレヒーナが頷く。

 二人はまた申し合わせたかのように手元に用意された木匙を持ち、パンの中にある鶏肉とモリーユのクリーム煮を眺めると、木匙に掬う。

 乾燥させたモリーユの戻し汁のせいで全体に茶色がかったクリーム色という感じのシチューになっているが、これはそれだけ旨味が染み出ているという証拠でもあるのだから仕方がない。

 エヴァンの木匙には解れた鶏肉と一口大に刻んだモリーユの傘の部分が乗っていて、白い湯気がもくもくと立ち上がり、その湯気とともに森の土のような香りが漂ってくる。

 エヴァンはその木匙の湯気を見て「ふうふう」と息を吹きかけて冷ましたあとにパクリと口に含む。

 モリーユの戻し汁とバター、クリームに鶏肉の旨味が詰まったスープがまず舌の上にに広がり、モリーユの爽やかさを含む落ち葉のような香りとバターの香りが鼻腔へ抜ける。

 モリーユの空洞になった軸の部分や、皺々の傘の部分は熱が入るとプリプリとした弾力のある独特の触感に変わっていて、そこに鶏肉の食感が加わることで二つの食感を楽める。また、モリーユがバターや生クリームの脂肪分や鶏の旨味を充分に吸い込んでいて、噛み潰すとそれらが口の中に溢れ出てくる。

 こうなると、モリーユのプリプリとした食感も相まって噛むことを止めるタイミングが難しい。

 三〇回以上、咀嚼をしてようやく飲み込んだエヴァンが感じたことを口に出す。


「とても面白い食感だ。それに、『トリュフ』のような香りを持ちつつも爽やかさがあって、なんとも表現しにくいのだが、この『モリーユ』独特の香りとでもいうのだろうか……実に美味しいキノコじゃないか」


 目の前ではレヒーナが頷きながらも、まだ口の中に入った『モリーユ』を噛み続けている。

 その食べ方を見てまた微笑ましいと感じたエヴァンはにこりと笑い、二口目のモリーユに手をつけた。


 一方、レヒーナは口に入れた瞬間には目を瞠ってその香りの良さと味の濃さに驚いていたようだが、ようやく噛み終えたのか、ごくりと口の中のものを飲み込むと、十歳の子どもらしい感想を述べる。


「美味しいし、食感も面白いけど……いつ飲み込めばいいのかわからないね」


 ちょっと困ったように眉尻を下げると、ニコリと笑みをみせる。

 美味しいことは美味しいのだが、シャルと同じ十歳の少女にはまだ噛む方に時間を取られるようで、そこが難点であった。とはいえ、既に銀莵亭の厨房で働いているのだから、より小さく刻むだとか、他にも繊維質の多いものを入れるなど工夫ができることにも気がついている。


 そこに、クネールたちが帰ったあとの第二陣を店内に招き入れ、料理の給仕と説明を終えたクリスがやってきた。


「ねえ、どうだった?」


 そして、それに対する二人の反応はまったく違うものとなった。


「実に美味しいキノコ料理だった。作り方を教えてもらえば、この街でも普及させてもっと楽しんでもらえると思う。まとめて買うことにするよ」


 エヴァンの意見はとても前向きである。

 実演販売や試食会などを開けば、他の宿屋や料理店でも扱うことができる手軽な干しキノコとして、充分やっていけると判断したのだ。


 一方、レヒーナの意見は違う。


「パンがすごく美味しかった。どうしたらあんなにまあるく作ることができるの?」

「ああ、うん……また今度教えてあげるね。それよりもキノコ料理はどう?」


 一瞬想定外の感想が飛んできたことでクリスは少し驚いたのだが、すぐに冷静にキノコ料理についての感想を尋ねた。


「えっと、『トルティーヤ』と『リゾット』も美味しかったよ。『モリーユ茸』はいつ飲み込めばいいのかわからなかったけど、大人が食べるなら大丈夫みたいだし、うちの宿で出したいと思う」

「そっか、それならよかったわ」


 まだ目の前に並んでいる美味しいキノコ料理を食べて、キラキラと目を輝かせるレヒーナを見てクリスは安堵の息を吐くと、両手を首の前くらいで合わせて笑顔を見せる。


「じゃぁ、今回のキノコ試食会は食べ終わったらおしまいといいたいんだけど……」


 クリスはエヴァンに向かって少し残念そうに話す。


「この『モリーユ茸』は毒があるの。でも、今みたいにしっかりと熱を通せば毒が消えちゃうからだいじょうぶ。それに、お酒と一緒に食べると悪心や嘔吐の原因になるから、宿屋や料理屋でだけ出すようにしたいの。どうかしら?」

「ああ、そういうことなら仕方がありませんね……」


 エヴァンも特に『モリーユ茸』について制限ができることは納得したようだ。逆に言えば、『モリーユ茸』を使った料理をレヒーナの銀莵亭が独占することになる。そこでまた、エヴァンはどうして銀莵亭なのか、不思議に思った。


「でも、銀莵亭だけ作り方を教えるんですか? 他の宿も知りたいところがあるんじゃないですかね?」

「そうね、ニルダ――レヒーナの母親はうちで侍女をしていた人だし、レヒーナちゃんとシャルは仲良しだっていうのもあるけど、これから街を拡張することになるから他の宿屋や料理屋にも教えないといけないかも知れない……でも、それはお父さまと相談して決めますね

 あと、どのキノコも虫食いや泥があるから、水戻しするときに丁寧に掃除しないといけないの。その手間賃のこともよく考えて買い付けてね」

「そうなんですね。よくわかりました……」


 エヴァンは商人らしく、そこはうまく交渉してみせますという意気込みを感じさせる強い目線で返事をした。

 そして、クリスはレヒーナの方を向く。


「うちの『パン』の作り方は、また今度……収穫祭が落ち着いてからにしましょうね」

「うん、わかった」


 レヒーナも今の時期はまだ忙しいのだ。もともと、日持ちする干しキノコなのだから無理をさせてまで急ぎ教える必要もないのだ。

 残った料理を楽しめるよう、必要な話をまとめてしまうとクリスは厨房へと戻っていった。







 エヴァンは出された試食品をすべて食べた後、レヒーナを銀莵亭にまで送るとニコラがいる屋台へとやってきた。


「お、旦那!」

「やあ、さっきはどうも。約束通り全部引き取りたいところなんだが、どうやら虫食いがあるらしい。その掃除の手間はこっちにくるんだから、半値でどうだい?」


 ニコラはいきなりの値引き要求に面を食らったのだが、その後の会話で継続的に仕入れるならと、クネールの了解を得ることができたのであった。

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