3人目 受信料の取り立て    ★★☆☆☆

 受信料。

 なにかとHOTな話題ですよね。


 私が名古屋に越して間もない頃は金がなかったので、家具付のLパレス(これもなにかとHOT)に住んでおりました。いやはや……その物件は色々と酷かった。

 上下左右からの騒音パレード(ストレスで眠れなくなります)。

 オートロックなんてついているわけがないので、Welcome状態。

 インターフォンはついているが、カメラが白黒̟でなぜか魚眼レンズ。

 マイクがチャチな作りで、なにを言っているかが聞き取りにくい。


『早く引っ越したい……』


 そんな某日、二十時過ぎ。

 完全にリラックスムードの最中さなか、家にチャイムが響きました。

 質の悪いインターフォンで対応すると、の若い男が玄関前に立っていました。『こんばんは、〇〇でーす』と一言、だったのです。

 ちょうどインターネットで注文していた品物があったので、それの宅配だと思い玄関のドアを開けると、男は荷物なんて持っておらず、代わりに名刺を出してきて、聞き慣れない横文字の会社名を口にしました。

 すぐに悟ったのは、男は配達員ではなく、集金の委託業者だということです。

 アパートの契約上、テレビは初めから設置されていますが、支払いについては、


『受信料のお支払いは、お客様とN〇Kで話し合って決めてください』


 と、Lパのフランチャイズ店から完全に丸投げされていました。

 てか設置した者に、支払いの義務があるのでは……?


 なにより私は、テレビを観ていません。

 委託業者に払う意思がないことを伝えたあと、名刺の受け取りを拒否し、「お帰りください」と一言。玄関のドアを閉めようとしたのですが――

 この委託業者、勝手に家の中に手を突っこんできて、


「痛い、痛い、痛ーい!」


 と、ドアに手を挟まれた素振りをし、大げさなリアクションを取るのです。

 なんかその演技、色々と雑くない……?


 私は、揉め事を避けて生きてきた人種です。一応そいつに留意してドアをそっと閉めています。つまり、実際には手なんて挟まっていません。

 呆れながらもう一度ドアを開いてやると、


「あー、痛かったあ……!」


 と、女みたいなナヨナヨした声を出して、あたかも被害者面をし、挟まれてもいない手をさすり始める始末。

 おめでとう! 委託業者は、同情を勝って受信料を払わせるマンに進化した! 

 ――あゝ、遣る方ない。


 けれどコレに付き合ったら最後、たぶん契約するまで帰ってくれないでしょう。

 危険を察知した私は、


「あ、すんません。大丈夫ですか? 大丈夫ですか? 大丈夫ですよね」


 と早口にまくし立て、そっとドアを閉め、施錠しました。

 その後チャイムは鳴らなかったので、諦めてくれたようですが……。

 いやはや、様々な手法で集金する時代なんですね。


 初めての独り暮らしをする学生の方や、若い女性の方は恐怖を覚えるだろうあのチャイム。最たる対処方法は『居留守』です。

 まあ、私の体験談以前に、あちこちで書かれている常套じょうとう手段ですが。でも実際にその状況に陥ると、割とパニックになるものなので、お気をつけて。


 そういえば昔、受信料の取り立てがあまりにもしつこかった日がありまして。

 その際、某ぶっ壊す政党(今ほど有名じゃなかった時)の代表に電話して、助言をいただいたこともあります。


   ◇


 今では、テレビのない生活が何年も続いています。

 代わりにあるのは、スマートスピーカーに囲まれた生活。

 おめでとう! 

 常陸乃ひかるは、ネットワークがないと生きられないマンに進化した!


 ――まあ私に限りませんが、消費者とはなにかを失うと新たなモノに食いつく。

 結局、なんて浮世にはないのかもしれません(暴論的まとめ)。


                                   了  

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