99.卒業式

 時は流れた。

 彼らの入学と、俺たちがこの国へ来てから三年。

 様々な事件は無事解決し、こうして卒業のときを迎えたのだ。


「ついに卒業だな」


 俺たちは教室に集まっていた。

 卒業式開始まではまだ時間がある。

 この教室とも、あと数時間でさようならをしなくちゃならない。


「みんなはどうだった? ここでの生活は楽しかったか?」


「もちろんですよ! すっごく楽しかったです!」


「お二人が僕たちの先生だったこと、心から幸せだと思っています」


「しっかしよぉ~ クロ先生たちが伝説の英雄だったって知ったときは、マジで驚いたぜ。なぁミズキ」


「そう? 私はむしろ納得したけど」


 俺たちは残された時間で、これまでの思い出を振り返った。

 楽しかったことだけじゃない。

 大変だったこととか、辛かったこともあった。

 そのすべてが劇的で、忘れられない思い出になった。

 

 生徒たちはそれぞれの道へ向けて歩き出す。

 ある者は魔術師団に入ったり、またある者は自分の家を継いだり。

 それぞれの夢を叶えるため、最善の選択をしたようだ。

 

 あと、人間関係にも変化があった。

 予想外の変化と言えば、ミシェルがローランの婚約者になったことかな。

 知らぬ間に急接近していてみんなで驚いた。

 一番驚いていたのは、側近のトールだったっな。

 それと予定調和になるけど、イズキとミズキはくっついたりもした。

 

 みんな魔術師としてだけじゃなくて、人としても変わっていった。

 日々成長していく彼らを、俺たちは誇りに思っている。


「ねぇ先生」


「何だ? レノア」


「先生たちはこれからどうるすの?」


「そうだなぁ~ 当分はここで教師を続けるよ。やっと慣れてきた所だし」


「ほんと? じゃあ遊びに来ても良い?」


「もちろん! いつでも歓迎するよ。卒業したって、お前たちは俺の生徒なんだからな。困ったときはいつでも頼ってくれ」


 キーンコーンカーンコーン。


 授業開始を告げるチャイムが鳴り響いた。

 何度も聞いた音だけど、今日は特別切なく感じた。

 このチャイムは始まりの音でもあって、終わりを告げる音でもあったから。


「さぁ、行こうか」


 こうして生徒たちは旅立っていった。

 各々の夢に向かい、立ち止まることなく駆け抜けていくために。

 楽しかった学校生活は思い出に変わっていく。

 いつの日か時候になっていくのだろうか。

 それでも良い。

 たとえ忘れてしまっても、離れ離れになろうとも、俺たちがここで共にいた時間は消えない。


 それに、これが終わりってわけじゃないんだ。

 この先もずっと――人生は続いていくのだから。

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