97.決戦①

 廃街での一件以降、国の総力を尽くしてリベレーターの拠点を捜索した。

 彼らの拠点は複数あり、リーダーであるシェフィールは潜伏場所を転々と移動していることがわかった。

 あれから何度か追い詰める機会を得るも、すんでのところで逃げられてしまう。

 どうやらそうとうトラウマになっているらしい。

 俺と直接戦うことをずっと避けている。

 

 そして、ついに終着のときは来た。

 長い長い鬼ごっこも今日で終わる。


「ようやく追い詰めたぞ。シェフィール」


「ついに会ってしまいましたか。大魔術師クロト」


 戦場となったのはルグドニア王国の首都だった。

 着々と拠点をつぶされた彼が、最後に逃げ込んだ場所がここだ。

 奇しくもこれが、毒殺後ルグドニア王国に初めて訪れた瞬間でもあり、同時に俺の生存を国民に知らしめる機会にもなった。


「追い詰めた……ですか。残念ながらそれは間違いです」


「何だと?」


「追い詰められてのではない。準備が整ったから、私はこの地へ戻ってきたのです」


 シェフィールは高らかに宣言した。

 その表情からは自信が伺える。

 

 パンッ!


 彼が手を叩いた。すると、街中の至る場所で強力な魔力反応が出現した。

 どれもこれも強力かつ膨大な魔力だ。

 それでいて重く濁っている。


「まさか――」


「さぁ! 楽しいパーティーを始めましょう!」


 魔神が現れた。

 一人や二人ではない。

 空を、街を、城を覆い尽くすほどの魔神たちが――


「この国の人々を魔神に変えたのか!!」


「その通りですよ! 以前にも言ったでしょう。劣等種など、私にとっては単なる道具に過ぎないのです。れに、このくらいしなければ、あなたは倒せませんからねぇ」


「お前……そんなことのために」


「私にとっては最重要事項です。あなたの存在だけが、私の計画の支障のなりえる。あなたさえ倒せれば、私の望む世界が造れるのです!」


「そう上手くいくと思ってるのか?」


「ええ、今日このときをもって計画のほぼすべてが完遂されます。いくらあなたでも、この数の魔神を相手にどれだけ戦えますか? さて、あなたが死ぬか、アルステインが滅ぶか、どちらのほうが早いでしょうねぇ」


「アルステインだと? どういうことだ!」


「私の部下と王国の兵が、アルステイン王国に攻め入っているのですよ。あなたさえいなければ、あんな国など簡単におとせますからね」


 そうか、やけに人の気配がないと思ったらそういうことか。

 魔神になっていない兵は、全部アルステインに向かっていたのか。

 つまり、俺はここへまんまとおびき出されたわけだ。


「ちっ……」


「おっと、逃げようとしても無駄ですよ。ここには特殊な結界が展開されていますので、転移系統の魔術で外には出られません」


「勘違いするなよ。別に逃げるつもりも、助けも戻る気もさらさらない。俺の役目は、お前を倒すことだからな」


「そうですか。では、やってみてください」

 

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