72.三頭の竜像⑤

 俺とユノアが守備よく装置を無力化している間、生徒たちも果敢に挑んでいた。

 攻撃者を絞るという作戦が上手くはまり、順調に結界へのダメージを蓄積していった。

 しかし、すべてが順調と言うわけにもいかないようだ。


「くっ、僕の攻撃がっ」


 ローランの魔術が敵の砲撃によって相殺された。

 結界へダメージが蓄積していくにつれ、生徒側の攻撃を無効化するように対応を始めたのだ。


「これでは結界が攻撃できない! 先に砲門を破壊しよう!」


 ローランの指示で攻撃目標を変更した。

 この判断は間違っていないのだが、結界への攻撃を中断すると言うことは、それだけ攻略までの時間が増えたと言うことでもあった。

 つまり、ユーリを守る結界組みの負担が増大したのだ。


「おいやべぇぞ! このままじゃ結界が保ねぇ!」


 Aクラス七人で組み上げた結界は強力だが無敵ではない。

 攻撃を受け続ければ綻び、次第に形状を保てなくなっていった。

 イズキが叫んだ通り、このままでは結界を維持できない。


「せめて、一度結界を修復できる余裕があれば……」


 アイーシャがそうもらすと、隣に立っていたルークが動いた。


「俺に任せてくれ」


 彼は魔術で黒い球体を三つ出現させた。

 それを結界の外へ移動させると、砲撃の一部がその球体に吸い寄せられていく。


「これで結界の負担が減らせる。だが長くは維持できない。もって一分だ!」


「ナイスだぜルーク! それだけありゃー十分だ!」


「オイラもやるよ! どうせ結界を修復するなら、もっと強くしないとな!」


 今度はゴルドが魔術を唱えた。

 彼は金属の盾を複数練成し、それを結界の外側に貼り付けた。


「これでさっきより頑丈だぜ!」


 ルークの魔術が消滅する頃には、結界はより頑丈になって修復された。

 結界組を心配していたローランたちも、あれなら大丈夫だと自分たちの役割に集中することにした。

 それから約十分かけて、ようやく結界を破壊。


「クロ先生! ユノア先生! 準備できました!」


「よし!」


「待ってたよ!」


 予定通りレノアが俺たちに連絡をとばし、同時に三箇所の装置を破壊した。

 その直後、破壊した石造の下から光の線が伸びて、閉ざされた扉に繋がった。すると扉が一瞬だけ光を放ち、ゆっくりと開錠した。


「や、やったー!」


 生徒たちは盛大に喜んだ。

 激しい戦いの疲れを感じながらも、強敵をくだした達成感に浸っていた。

 数分騒ぐだけ騒いだ後に、開いた扉の奥へ行くと――


「よくやったな」


「お疲れ様」


 先に待っていた俺とユノアに対面した。

 生徒たちのやりきった表情を見て嬉しく感じるが、残念ながらまだ終わらないようだ。

 なぜなら開いた扉の先に、地下へと続く階段が設けられていたから。

 

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